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清張作品の題名は「黒の...」とか「霧の旗」・「波の塔」など「の」が多く使われている。 ぼんやり題名の特徴などを考えていたとき、その特徴を整理してみようと思い立った。 まさに蛇足的考察である! −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 講演「小説と取材」 文藝春秋「文化講演会」より /オール讀物(1971・7)●蔵書『「松本清張の世界 文藝春秋10月臨時増刊号」1992年』 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ・・・・・・・・・今東光さんは、どこの講演会でも、題名は「文学と人生」。・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・これだけハバが広ければ何をしゃべっても大丈夫。・・・・・・・・・ で、私も連載小説を頼まれまして半年ぐらい前、あるいは一年ぐらい前はまだ筋が出来ていない、 しかしだんだん締切りが切迫いたしまして、あと一ヵ月でよいいよ連載が始まる、という頃になりますと、 予告といいますか、次号からよいよ松本清張の連載が始まる、という予告を編集部でぶちますが、 その時、題名を出さなければならない。 しかしながらまだ筋ができておりませんから、題名を渡せるはずがありません。そこで私は抽象的な、 アブストラクトといいますか、題名をまず出して一ヵ月程命を延ばすことがございます。 これは、ほかの場所でも話したことですが、 たとえば、『波の塔』だとか『水の炎』だとかいうような題を出しておけば、 内容が推理小説であろうが、ロマン小説であろうがあるいは時代小説であろうが、 あと一ヵ月のほんとうの締切りまで時間がかせげるわけであります。・・・・・ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−− はやい話、清張は、あまり題名にはこだわっていなかったのか? |
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登録 | 清張作品 | 一考察 | |
その壱 | 13/01/10 | 「泥炭地」 「泥炭層」●白鳥一雄 |
【泥炭地と泥炭層】 |
その弐 | 14/08/30 | 「馬を売る女」 「死んだ馬」 |
【馬と馬】 |
その参 | 14/12/21 | ●一文字は多い 「影」 「指」 「月」 「賞」 「声」 「点」 「鴉」 「顔」(短編:時代) 「葛」(短編:時代) 「蓆」(短編:時代) 「疵」 (短編:時代) 「灯」(短編/シリーズ) 「形」(短編/シリーズ) 「虎」(短編:時代/シリーズ) 「術」(短編:時代/シリーズ) 以上が短編 「紐」(中編/シリーズ) 「草」(中編) 「網」(長編/シリーズ) 「渦」(長編/シリーズ) |
【一文字は多い】 |
その四 | 15/03/21 | ●一(1) 「十万分の一の偶然」 「一年半待て」 「柳生一族」 「一九五二年日航機「撃墜」事件」 「交通事故死亡1名」(死の枝 第一話) ※1は、アラビア数字の1 ●二 「雨の二階」(絢爛たる流離 第五話) 「二つの声」(黒の様式 第四話) 「二人の真犯人」(ミステリーの系譜 第四話) 「二階」 「奥羽の二人」 「二代の殉死」 「二すじの道」 「一九五二年日航機「撃墜」事件」 ●三(参) 「三人の留守居役」(彩色江戸切絵図 第四話) 「三位入道」 「三味線」 「西連寺の参詣人」 |
【一、二、三、】 |
その五 | 17/03/15 | ●小説という名の小説 小説 3億円事件「米国保険会社内調査報告書」 小説帝銀事件 小説東京帝国大学 砂の審廷 小説東京裁判 ●シリーズ名=小説日本芸譚 (原題=日本芸譚) ★全12話 1.古田織部 2.世阿弥 3.千利休 4.運慶〔(株)文藝春秋=全集26(第一話)(1973/03/20)〕 運慶〔(株)光文社=青春の彷徨〕 5.鳥羽僧正 6.小堀遠州 7.写楽 8.本阿弥光悦(光悦) 9.葛飾北斎(北斎) 10.岩佐又兵衛 11.雪舟 12.止利仏師 |
【ずばり!『小説』】 |
その六 | 17/05/21 | 【火のないところに煙は立たず/「火の・・・」】だが 水で消したのか? 「水の・・・」は、意味不明で内容が不明 「水の肌」・「水の炎」 「題名に関する一考察」のきっかけでもあった...以下 ...私も連載小説を頼まれまして半年ぐらい前、あるいは 一年ぐらい前はまだ筋が出来ていない、 しかしだんだん締切りが切迫いたしまして、あと一ヵ月で よいいよ連載が始まる、という頃になりますと、 予告といいますか、次号からよいよ松本清張の連載が 始まる、という予告を編集部でぶちますが、 その時、題名を出さなければならない。 しかしながらまだ筋ができておりませんから、題名を 渡せるはずがありません。そこで私は抽象的な、 アブストラクトといいますか、題名をまず出して 一ヵ月程命を延ばすことがございます。 これは、ほかの場所でも話したことですが、 たとえば、『波の塔』だとか『水の炎』だとかいうような 題を出しておけば、内容が推理小説であろうが、ロマン小説 であろうがあるいは時代小説であろうが、あと一ヵ月の ほんとうの締切りまで時間がかせげるわけであります。・・・・・ 『水』も四文字熟語となると 「人間水域」・「陸行水行」 で、それなりの意味を持つ |
【水に流して下さい】 |
その七 | 20/02/20 | 『風景』 【数の風景】 【骨壺の風景】 【暗色調(ダークトーン)の中の風景】(未購入/96007) 2020年7月16日購入(7030)エッセイ 【数の風景】は、紹介作品として取り上げた。(第98回/2019年8月21日) 『数』が風景と言うか、背景に存在する。 【骨壺の風景】は、自叙伝的な作品らしい。研究作品に取り上げてみたい。 清張作品には、「私小説」や「自叙伝的」な作品はほとんどないが、 【骨壺の風景】や 【父系の指】は、その例外のようだ。その背景は「貧困」 |
【そこから見えるもの】 |
その八 | 20/04/21 | 『男と女』 タイトルに「男」とあると、その男が主人公ではないかと想像する。 主人公でも、犯人の場合もあるし、被害者の場合もある。 【駆ける男】 【影の車 第三話 薄化粧の男】 【死の枝 第五話 年下の男】 |
【ダバダバダ〜】 |
その九 | 20/06/21 | 『虚・実』 「虚」は、むなしく 「実」は、みもふたもない。 分かったようで分からない題である。 ●虚 【美の虚像】(原題=美の虚象) 【火の虚舟】 ●実 【果実のない森】(原題=黄色い杜) |
【虚実の駆け引き】 |
その十 | 20/08/21 | 『旋舞』 ■そもそも、『旋舞』 旋舞. (一般). 【せんぶ】とは、 旋回する舞い。? 仏教用語:セマー スーフィズム(イスラム神秘主義)のメウレウィー教団における修行の一つ。 スカート状の白い衣服をつけ、音楽に合わせて回転を続ける踊り。旋舞(せんぶ)。 ●旋舞 【翳った旋舞】 【暗い血の旋舞】 |
【旋舞 舞・踊る人生】 |
その十一 | 20/09/21 | 川・河・革 (川) 草の径 第二話 ネッカー川の影 私説・日本合戦譚 第二話 姉川の戦 無宿人別帳 第十二話 雨と川の音 徳川家康 細川幽斎 (河) 彩り河(上) (下) 赤い氷河期(上)(下) アムステルダム運河殺人事件 河西電気出張所 (革) 白と黒の革命 黒革の手帖(上) (下) |
【川・河・革】 |
その十二 | 20/11/21 | 『目と眼』 目は無かった ●眼... ■【眼の壁】【週刊読売】1957年(昭和32年)4月14日号〜12月29日号 初期の代表的長篇作品。 手形のパクリ事件を追う萩崎竜雄と友人の新聞記者。 ■ 【眼の気流】【オール讀物】1962年(昭和37年)3月号 短編だが比較的長い作品(約46800文字) ■ 【眼】(未購入/【文藝春秋】1988年5月) 未購入 【文藝春秋】1988年5月号なので、古本でもないかと探したが 見つけられなく入手を断念した。 題名では、三作品だが、書き出し、300文字前後で『眼』をキーワードよして検索すると驚くべき数が検索された。 『目』の検索でも『眼』以上の検索数だった。 眼(目)は、口ほどに物を言う。 小説を書く上では重要なキーワードなのだろう。 そのうち、『眼』で蛇足的に研究をしてみたい。 そのうちは、なかなかやってこないが... |
【目と眼】 |
その十三 | 21/02/20 | 記憶(入江の記憶・火の記憶) 記憶は鮮明だった。 【入江の記憶】(死の枝:第九話)蛇足的研究 作品No1112 【小説新潮】1967年(昭和42年)10月号 【火の記憶】(原題:記憶) 【小説公園】1953年(昭和28年)10月号 |
【記憶】 |
その十四 | 21/04/21 | ●砂 「砂」一文字だが、イメージは強烈だ。 はかなく、もろく、その姿を変える。 作品は、1960年・1965年・1970年と5年おきに長篇作品として1年近く連載されている。 「中央流沙」という作品もあるが、「流沙」で、「流砂」ではない。 ただ、イメージは「流砂・流沙」そのものである。 ■『砂の器 ■『砂漠の塩』 ■『砂の審廷』 ※goo 辞書 りゅう‐さ〔リウ‐〕【流砂/流沙】 の解説 1 水に押し流されて運ばれた砂。りゅうしゃ。 2 水を含んで流動しやすい砂。りゅうしゃ。 3 砂漠。特に、中国西北方の砂漠をさしていう。りゅうしゃ。 「流砂」も「流沙」も同じ意味で砂漠を指しているとは... |
【砂】 |
その十五 | 21/07/21 |
●蒼(蒼のある断層・蒼い描点・蒼ざめた礼服) |
【蒼】 |
その十六 | 21/11/21 | ●草 中編:【草】【黒い画集 第九話】【週刊朝日】 (1960年(昭和35年)4月10日〜6月19日) 長編:【草笛】【新潮】 (1960年(昭和35年)9月) 短編:【百済の草】【絢爛たる流離 第三話】 【婦人公論】 (1963年(昭和38年)3月号) 長編:【草の印刻】【読売新聞】( 1964年(昭和39年)5月号16日〜1965年(昭和40年)5月23日号) 長編:【雑草群落】(上)(下)【東京新聞】 (1965年(昭和40年)6月号18日号〜1966年(昭和41年)11月7日号) 短編:【壁の青草】【別冊文藝春秋73】 (1966年(昭和41年)5月号) 短編:【葡萄唐草文様の刺繍】 (原題=葡萄草文様の刺繍)【オール讀物】 (1971年(昭和46年)1月号) シリーズ作品で『草の径』 作品は、短編、中編、長編と全て揃っている。 現代物ばかりで、時代物は無い。 1960年代に書かれたものが殆どだ。(「葡萄唐草文様の刺繍」は、1971年の作品) 「草」に特別な意味があるようには思えないが、「百済の草」だけは紹介作品でも取り上げているので 内容的には把握している。他の作品には特別な印象が無い。(一応全て完読している。10年以上昔) 「百済の草」の「草」に関係する部分は...紹介作品でも取り上げたが >寺の境内の草を掴んで殺されていたという。(これが、タイトルの「百済の草」の意味か?) >立っているところを刺され、仆れるときに草を掴んだとされていることに疑問を持つ。, 直接的に草が登場する。 他の作品には、題名に「草」を思わせる内容は無い。 |
【草】 |
その十七 | 22/01/21 | ●道 異変街道(上・下) 黒の図説 第四話 書道教授 殺人行奥のほそ道(上・下) 黒い画集 第三話 坂道の家 西街道談綺 (1〜5) 三位入道 二すじの道 「道」そのものがタイトルになっているわけでは無い。 意味からして、「二すじの道」が、「道」の意味合いが強い。 その他は、熟語で、「街道」・「書道」・「ほそ(細)道」・「坂道」・「入道」と、 二文字熟語で成立している。 旧い順位並べると @●「三位入道」 「オール讀物」:1953年(昭和28年)5月号/中編・シリーズ A●二すじの道 「キング」秋の増刊号:1954年(昭和29年)10月号/中編・時代 B●「坂道の家 「週刊朝日」:1959年(昭和34年)1月4日号〜4月19日号」/中編・シリーズ C●「異変街道」 「週刊現代」:1960年(昭和35年)10月23日号〜1961年(昭和36年)12月24日号/長編・時代 D●殺人行奥のほそ道 「ヤングレディ」:1964年(昭和39年)7月号6日号〜1965年(昭和40年)8月23日号/長編 E●「書道教授」 「週刊朝日」:1969年(昭和44年)12月19日号〜1970年(昭和45年)3月27日号/中編・シリーズ F●「西海道談綺」 「週刊文春」:1971年(昭和46年)5月17日号〜1976年(昭和51年)5月6日号/長編・時代 あまり意味は無いと思うが、短編が無い。 分類では少ないはずの、「中編」が4作品もある。(素不徒破人調べ:32作品中4作品) |
【道】 |
その十八 | 22/08/21 | ●海 「内海の輪」【黒の様式】:第六話 「深層海流」 「海嘯」【無宿人別帳】:第二話 「閉じた海」 ※数少ない書き下ろし作品 「暗い血の旋舞)・「信玄戦旗」・「閉じた海」 |
【海】 |
その十九 | 22/10/21 | ●風 「数の風景」【黒の様式】:第六話 「黄色い風土」(原題:黒い風土) 「骨壺の風景」【無宿人別帳】:第二話 「突風」【影の車】:第八話 「梅雨と西洋風呂」【黒の図説】:第六話 「風の視線」 「風紋」(原題:流れの結像) 「突風」【紅刷り江戸噂】:第三話 「風の息」(上)(下) 「信玄軍記/炎風」 「風炎」《改題=「殺人行おくのほそ道(上)」・「殺人行おくのほそ道(下)」》 「風圧」《改題=「雑草群落(上)」・「雑草群落(下)」》 |
【風】 |