その
 

水に流して下さい

その

清張作品の題名は「黒の...」とか「霧の旗」・「波の塔」など「の」が多く使われている。

ぼんやり題名の特徴などを考えていたと、きその特徴を整理してみようと思い立った。

まさに蛇足的考察である!


(第三部).

その六 15/05/21 水に流して下さい

火のないところに煙は立たず/「火の・・・」】だが
水で消したのか?
「水の・・・」は、意味不明で内容が不明
水の肌」・「水の炎

「題名に関する一考察」のきっかけでもあった...以下
...私も連載小説を頼まれまして半年ぐらい前、あるいは
一年ぐらい前はまだ筋が出来ていない、
しかしだんだん締切りが切迫いたしまして、あと一ヵ月で
よいいよ連載が始まる、という頃になりますと、
予告といいますか、次号からよいよ松本清張の連載が
始まる、という予告を編集部でぶちますが、
その時、題名を出さなければならない。
しかしながらまだ筋ができておりませんから、題名を
渡せるはずがありません。そこで私は抽象的な、
アブストラクトといいますか、題名をまず出して
一ヵ月程命を延ばすことがございます。
これは、ほかの場所でも話したことですが、

たとえば、『波の塔』だとか水の炎だとかいうような
題を出しておけば、内容が推理小説であろうが、ロマン小説
であろうがあるいは時代小説であろうが、あと一ヵ月の
ほんとうの締切りまで時間がかせげるわけであります。・・・・・

『水』も四文字熟語となると
人間水域」・「陸行水行
で、それなりの意味を持つ

改めて「...の...」の題名で『波の塔』だとか『水の炎』のように内容が見当も付かないものは意外に少ない。
清張さんの告白通り苦肉の策としての命名だろう。

水の肌・水の炎・風の視線・風の息・火の路・火の虚舟・霧の会議・霧の旗...と上げてみると
「水」関係で、「風」や「霧」「火」もひかかってくる。「水」「霧」は文字のイメージからしてとらえどころが無く、
漠然とした感じである。「風」「火」も同じようなイメージである。



-----------------------------------以下、作品の紹介(帯(カバー・腰巻き)------

ちなみに「水の炎」は長編。
蔵書No_0077 水の炎
貪婪な食欲をもって弱小者を食っては肥えふとってゆく権力者が、新たな獲物を狙って乗り出してゆくとき、そのまわりには、欲望と野心をむき出しして、その成功の分け前にあずかろうとする男たちがひしめいていた・・・・・・。『水の炎』は『波の塔』『風の視線』において、ミステリーの手法をもって”恋愛”を描くことに成功した松本清張が、険しい男の世界を背景に、愛に対する女の姿勢を描いた異色の長編ロマンである


「水の肌」は短編。
蔵書No_0049 水の肌
わずかな歪みが招いた悲劇!
愛が綻び、欲望が顔を見せる時ひとは無限に拡がる自己愛のささやきを心の闇に聞く・・・・・・・・・

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「風」は長編、「霧」も長編。「火」も長編が多い。しかし余り意味の無い考察でもある。



2017年05月21日記