松本清張_けものみち

題名 けものみち
読み ケモノミチ
原題/改題/副題/備考  
本の題名 松本清張全集 15 けものみち【蔵書No0094】 映像の世界【TV】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1972/04/20●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「週刊新潮」
作品発表 年月日 1962年(昭和37年)1月8日号〜1963年(昭和38年)12月30日号
コードNo 19620108-19631230
書き出し 旅館「芳仙閣」は、高台の傾斜を利用して枯山水まがいの庭園を造り、以前からの母屋のほかに新館がある。二月初めのある晩のことだった。芳仙閣の新館の十畳の間が借り切られた。此処を旅館では「深雪」と名づけて、いちばんいい部屋になっている。客は十人ぐらいであった。それも来るときはバラバラに到着した。客の高級な自家用車やハイヤーは、急な坂道を匍って玄関に上がった。宵の口の「深雪」では酒を飲んだり、飯を食べたりして、気軽な宴会が続いているようだった。客はみんな年配の男ばかりで、洋服と和服だったが、いずれも立派なものを着ている。芳仙閣の女中たちは、帳場から小さな同業組合の懇親会だと聞かされていた。しかし、九時ごろになると、女中たちは締め出された。このころになると、若い男たちが、その部屋の前廊下に、何となく立つようになった。十畳の間の隣が八畳だったが、そこに青年たちは休み場所をあてがわれていた。ジャンパーやセーターだけの者が多く、交替で新館と本館とをつなぐ廊下のあたりに立っていた。
作品分類 小説(長編) 426P×1000=426000
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