題名 | 西海道談綺 一 | |
読み | サイカイドウダンキ 1 | |
原題/改題/副題/備考 | 「西海道談綺 一」・「西海道談綺 二」・「西海道談綺 三」・「西海道談綺 四」・「西海道談綺 五」 | |
本の題名 | 西海道談綺 一■【蔵書No0070】 | |
出版社 | (株)文藝春秋 | |
本のサイズ | A5(普通) | |
初版&購入版.年月日 | 1976/12/20●初版 | |
価格 | 850 | |
発表雑誌/発表場所 | 「週刊文春」 | |
作品発表 年月日 | 1971年(昭和46年)5月17日号〜1976年(昭和51年)5月6日号 | |
コードNo | 19710517-19760506 | |
書き出し | 宿直の上番は正午から翌日の正午までである。伊丹恵之助は午後三時ごろから下腹を押さえはじめた。同僚が眼にとめて、どうかしたか、と訊いた。恵之助は若い眉をしかめて「どうも腹が苦って」と低い声でいった。痛いというのをニガルというのはこの辺の方言である。美作(岡山県)の真島郡勝山は中国山脈の南山麓で、北の四十曲がりを越すと伯耆国西の峠を越して奥備中の阿賀郡に出る。城の傍を神代川に合している狭隘な盆地で、早春は冬のつづきで冷え込む。「今日は寒い。冷え腹ではないか」同僚はいった。「そうかもしれん。べつに食中毒とも思もえんが」恵之助はうつむいて唇の端をゆがめていった。いくらか角張った顎の線には二十七歳の男にふさわしい逞しさと一種の稚さとが出ている。 | |
作品分類 | 小説(長編・時代) | 252P×860=216720(1126600) |
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