題名 | 西海道談綺 四 | |
読み | サイカイドウダンキ 4 | |
原題/改題/副題/備考 | 「西海道談綺 一」・「西海道談綺 二」・「西海道談綺 三」・「西海道談綺 四」・「西海道談綺 五」 | |
本の題名 | 西海道談綺 四■【蔵書No0073】 | |
出版社 | (株)文藝春秋 | |
本のサイズ | A5(普通) | |
初版&購入版.年月日 | 1977/03/25●初版 | |
価格 | 850 | |
発表雑誌/発表場所 | 「週刊文春」 | |
作品発表 年月日 | 1971年(昭和46年)5月17日号〜1976年(昭和51年)5月6日号 | |
コードNo | 19710517-19760506 | |
書き出し | 高い丘の上から物見していた浜島孝介の姿は消えた。この辺も石灰岩や、輝石安山岩に阿蘇の火山灰泥のまじった岩が多く、断崖に露出している。浜島の消えた巌頭には、秋の鰯雲が斜めに立っていた。近くの藪を騒がせて、浜島の長身が現れた。「いや、どうもお待たせしました」彼は肩や袴に付いた木の葉や笹を払い落としながら、恵之助に云った。「あの丘の上から眺めますと、山伏どもはどうやら肥後境のほうにむかって移動しているようでございますな」「なに、肥後境のほうに?」恵之助よりも先に口を出したのが向井平三郎であった。「はい。さようで」浜島は、この上役にも叮嚀にうなずいた。日田から西に向かうと、豊後国境は北寄りに筑後国と接し、南寄りには肥後国と隣合う。といって、山地を跋渉する山伏には、国境など無いにひとしい。この三国の国境地帯は、峻険な山獄と深い渓谷の連続であった。彼らの集団は、梢に渡り伝う野猿のように、人煙を絶った山嶺密林の中を徘徊できる。 | |
作品分類 | 小説(長編・時代) | 267P×860=229620(1126600) |
検索キーワード |