松本清張_黄色い風土(改題)

(原題=黒い風土)

題名 黄色い風土
読み キイロイフウド
原題/改題/副題/備考 (原題=黒い風土)
本の題名 黄色い風土【蔵書No0034】
出版社 (株)光文社
本のサイズ 新書(KAPPANOVELS)
初版&購入版.年月日 1962/08/15●128版1976/05/20
価格 650
発表雑誌/発表場所 「北海道新聞」
作品発表 年月日 1959年(昭和34年)5月22日〜1960年(昭和35年)8月7日
コードNo 19590522-19600807
書き出し 午後二時三十分から三時までの東京駅の十二番線ホームは、贅沢で華やかな混雑が渦巻いている。三時には伊東行きの「いで湯号」が出るのだが、周知のように、これは新婚組のために、ロマンスカーが連結されている。その見送りのために、列車が出るまではいくつもの披露式場の雰囲気が、このホームに重なりあい、ぶつかりあっている。新婚組の方は、もう、さっぱりした旅行着に着替えているが、見送りの側は、モーニングだったり、裾模様のもんつきだったりしていた。この一カ所だけに、儀式めいたものが集まっていることは、見ようによっては、荘厳な滑稽さが漂っている。若宮四郎は、そのロマンスカーとは二両はなれた後部の普通車両に、退屈そうに座っていた。今日は忙しくて、昼飯を食い損ったから、駅売りのサンドウィッチを買ってきて頬張っていた。
作品分類 小説(長編) 436P×530=245390
検索キーワード 新聞社・熱海・キャバレー・錦ヶ浦・溺死・偽ドル・旧日本軍・沈丁花の女・北海道・婦人問題評論家
【カバー】午後三時東京発伊東行きの「いでゆ号」には、新婚旅行列車という異名の通り、若い男女の花やかな甘い色彩が渦巻いていた。その中でただひとり、ぽつねんと孤独をかこっていた雑誌記者若宮四郎は、発車まぎわに駆けつけた一組の新郎新婦に目を惹かれた。翌日、熱海錦ヶ浦の断崖下から一人の若い男の死体が上がったが、その連れの女は失踪していた−−−それは、あの”気がかりな”新婚夫婦にまぎれもなかった。