題名 | 葛 | |
読み | クズ | |
原題/改題/副題/備考 | ||
本の題名 | 奥羽の二人■【蔵書No0140】 | |
出版社 | (株)講談社 | |
本のサイズ | 文庫(講談社文庫) | |
初版&購入版.年月日 | 1986/11/15●23版2002/12/16 | |
価格 | 495+税(5%) | |
発表雑誌/発表場所 | 「別冊文藝春秋」66号 | |
作品発表 年月日 | 1958年(昭和33年)10月 | |
コードNo | 19581000-00000000 | |
書き出し | 五代将軍綱吉の晩年に近い宝永年間のことである。いうまでもなく、御用人柳沢吉保が権勢を振っていた時代である。中国辺の国持大名になにがしという者がいた。なにがしとは曖昧だが、《名は憚けありあれば略す》と原本にあるから、それに従うほかはない。中国筋の国持大名といえば、限界が知れて、推定にさほど困難ではないが、ここでは原本の礼儀に従って、さる大名と名を呼んで置く。この大名は齢不惑を遙かに超えていたが、近ごろ憂鬱そうな顔をする日が多くなった。家来と話をしているときでも、宴を催して盃を持っているときでも、吹いている風が途切れた瞬間のように、もの寂しげな表情が顔に出る。ことに吉例の行事があって、柳営に登城のとき、供揃いを居間で待っている間など、銀の煙管を唇に当てたまま甚だ浮かない顔をしてぼんやりしている。 | |
作品分類 | 小説(短編・時代) | 10P×540=5400 |
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