松本清張_黒の図説 第四話 書道教授

〔(株)文藝春秋=全集10(1973/05/20)【黒の図説】で第四話として発表〕

題名 黒の図説 第四話 書道教授
読み クロノズセツ ダイ04ワ ショドウキョウジュ
原題/改題/副題/備考 ●シリーズ名=黒の図説
●全12話
 1.
速力の告発
 2.
分離の時間
 3.
鴎外の碑
 4.書道教授
 5.六畳の生涯〔(株)文藝春秋=松本清張全集10〕
   
六畳の生涯〔(株)光文社=生けるパスカル〕
 6.
梅雨と西洋風呂
 7.
聞かなかった場所
 8.
生けるパスカル
 9.
遠い接近
10.
山の骨
11.
表象詩人
12.
高台の家
●全集(6話)
1.
速力の告発
2.
分離の時間
3.
鴎外の碑
4.書道教授
5.六畳の生涯
6.
梅雨と西洋風呂
本の題名 松本清張全集 10 黒の図説【蔵書No0041】 映像の世界【TV】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1973/05/20●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「週刊朝日」
作品発表 年月日 1969年(昭和44年)12月19日号〜1970年(昭和45年)3月27日号
書き出し 呉服屋というものは、どのような場末の街でも、必ず一つは小さくともあるものらしい。S区の銀行支店につとめ、外務係をしている川上克次の経験がそうだった。彼の受持区域というのは大通りから南側一帯で、商店街は貧弱だが、住宅街は奥がひろく、戦前の屋敷町に新住宅区と団地が接続している。川上の得意先は、商店よりも富裕な家庭が主だった。この辺の大きな住宅には社長や重役連が住んでいて、銀行にとってはなかなかの預金源になった。先方と顔馴染みになってくると、家庭の財政的な相談ごともひきうける。たとえば、奥さんがたの内証のへそくりも預かるのだった。川上は、銀行の小型車を運転して回るが、M通りを通るたび、小さな呉服屋が眼についていた。間口は二、三間ばかりで、その半分は陳列窓になっている。貧弱な陳列窓には、着物とか反物とか帯とかが飾れているが、あまり上等の品はなく、田舎町に見かける呉服屋と変わりなかった。出入口はいつも戸があいているが、ついぞ客が入っているのを見たことがない。
作品分類 小説(中編/シリーズ) 87P×1000=87000
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