松本清張_神の里事件

題名 神の里事件
読み カミノサトジケン
原題/改題/副題/備考  
本の題名 火神被殺【蔵書No0005】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1973/08/15●4版1975/04/05
価格 750
発表雑誌/発表場所 「オール讀物」
作品発表 年月日 1971年(昭和46年)8月号
コードNo 19710800-00000000
書き出し 平野部を走って一時間以上にはなる。六月の終わりだが曇った天気の、妙にうすら寒い日だった。梅雨は細い雨と蒸し暑いのが普通だが、今年は雨があまり降らない。連日鉛色の雲が居すわって冷たい空気を隙間風のように送ってきている。東京もそうだがこっちに来ても同じだった。平野部では田植えが行われていた。雨がなくとも川の水があるからだろう。その加古川はバスの窓にたえず附き添っている。町に出たり、丘があったりして、ちょっとの間は消えるが、すぐその鈍い光の川面を気づがわしげに現す。バスの乗客は一二,三人である。途中の停留所で乗降があったが、いまはこれだけである。引地新六を除いてはみんな土地の者らしい。それでも出発点から乗った者はほかに三人はいた。乗客は話をしないで居眠ったように黙っている。外も見えない。もっとも単調な田圃や畑では眺めても仕方がない。
作品分類 小説(短編) 49P×700=34300
検索キーワード 播磨風土記・バスガール・巫女・豊道教・高産儒教・鍛冶屋・教祖御神鏡・新興宗教・加古川