松本清張(1045)_紅刷り江戸噂 第二話 虎

〔(株)文藝春秋=全集24(1972/10/20):【紅刷り江戸噂】第二話〕

題名 紅刷り江戸噂 第二話 虎
読み ベニズリエドウワサ ダイ02ワ トラ
原題/改題/副題/備考 ●シリーズ名=紅刷り江戸噂
●全6話=全集(6話)
1.
七種粥
2.
3.突風
4.
見世物師
5.

6.
役者絵
本の題名 松本清張全集 24 無宿人別帳・彩色江戸切絵図/紅刷り江戸噂【蔵書No0134】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1972/10/20●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「小説現代」
作品発表 年月日 1967年(昭和42年)4月号〜5月号
コードNo 19670400-19670500
書き出し 甲斐国甲府の町に皐月屋という鯉幟製造の旧い問屋があった。亭主は平兵衛といって、当時五十だが、三代目だった。甲府は今では勤番支配となっているが、その前は大和郡山に所替えになった柳沢美濃守吉保が居たり、徳川親藩の城下だったりした。昔は、いうまでもなく武田信玄の本拠であったから、武家風の習慣が盛んであった。また、甲州は甲府のほかにこれといった町も無く、したがって甲府の商売は奥が広かった。皐月屋もかなり手広く販路をもっていた。鯉幟はむろん五月の節句の間だけだが、これを作るのにほとんど一年中かかっている。皐月屋も内職人のほか、町の職人にも仕事を出していた。二月半ばのことである。皐月屋の表に旅姿の一人の若い男が入ってきた。彼は店先の上がり框に両手をついて番頭に云った。「てまえをこちらで雇っていただけませんか」その男は渡職人であった。たいてい店の人手不足のところを見込んで、いきなり雇ってくれと飛びこんでくるのだが、そうした渡り歩きの職人には腕の立つ者が多かった。
作品分類 小説(短編・時代/シリーズ) 27P×1000=27000
検索キーワード 鯉幟・渡り職人・張子の虎・町医者・男色・身代・人形屋・好色・火事・岡っ引き・笹子峠