その
 

ずばり!『小説』

その

清張作品の題名は「黒の...」とか「霧の旗」・「波の塔」など「の」が多く使われている。

ぼんやり題名の特徴などを考えていたと、きその特徴を整理してみようと思い立った。

まさに蛇足的考察である!


(第三部).

その五 15/03/15 ずばり!『小説』
●小説という名の小説
小説 3億円事件「米国保険会社内調査報告書」
小説帝銀事件
小説東京帝国大学
砂の審廷 小説東京裁判

●シリーズ名=小説日本芸譚
(原題=日本芸譚)

★全12話
 1.古田織部
 2.世阿弥
 3.千利休
 4.運慶〔(株)文藝春秋=全集26(第一話)(1973/03/20)〕
   運慶〔(株)光文社=青春の彷徨〕
 5.鳥羽僧正
 6.小堀遠州
 7.写楽
 8.本阿弥光悦(光悦)
 9.葛飾北斎(北斎)
10.岩佐又兵衛
11.雪舟
12.止利仏師

小説という名の小説だが、実名の事件や固有名詞の巻頭に「小説」がつく。
清張にはそれなりの理由があっての命名であろう。

事実とフィックションの狭間の作品とも言える。

「小説帝銀事件」は小説として書かれている。
「帝銀事件の謎」はノンフィクションとして書かれている。この作品は小説として書かれた後の作品です。
この経緯を清張は、「小説で書くと、そこには多少のフィクションを入れなければならない。しかし、それでは、読者は、
実際のデータとフィクションとの区別がつかなくなってしまう。....」
それよりも、調べた材料をそのママに並べ、この資料をの上に立って私の考え方を述べた方が小説などの形式よりも
はるかに読者に直接的な印象を与えると思った」

では、わざわざ「小説」と冠して、実在の事件を書いたのか?
逆の意味で、「事実」に近づこうとしたのかもしれない。
自由な発想と創造力を発揮して真実に近づこうとしたのかも知れない。

『小説 3億円事件「米国保険会社内調査報告書」』については、「三億円犯人との対話<対談・南博>がある。
『潮(106)』(1969年2月)未購入のため内容は分からないが、読み比べてみたいものだ。

『小説帝銀事件』は『「帝銀事件の謎」(原題=画家と毒薬と硝煙)(【日本の黒い霧】第八話)』、があり対比が可能だ。

『小説東京帝国大学』と『砂の審廷 小説東京裁判』は小説として読む以外関係書籍はない。


2015年03月15日記