松本清張(1143)_小説 帝銀事件

題名 小説 帝銀事件
読み ショウセツテイギンジケン
原題/改題/副題/備考  
本の題名 松本清張全集 17 北の詩人・象徴の設計【蔵書No0098】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1974/01/20●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「文藝春秋」
作品発表 年月日 1959年(昭和34年)5月号〜7月号
コードNo 19590500-19590700
書き出し R新聞論説委員仁科俊太郎は、自分の部屋での執筆が一区切りついたので、珈琲でも運ばせようと思って、呼釦を押すつもりであった。窓を見ると、雨が晴れたばかりで、金閣寺のある裏山のあたりの入り組んだ谿間に、白い霧がはい上がっている。南禅寺の杜も半分は白くぼやけている。ホテルは蹴上にあって高いところだし、部屋は五階だから、このように俯瞰した眺望になるのである。下には大津行きの電車が、まだ雫の落ちそうな濡れた屋根を光らせながら坂を上がっていた。どのような美しい窓からの景色も、ホテルの長滞在の間には感興を失うものだ。仁科俊太郎は、この部屋で茶を喫むことを思いとどまって起ち上がった。場所を変えたいが、外出すると時間がかかる。四階に広いロビーがあるのでそこで憩むことにした。彼は上着をつけて廊下に出た。すぐ下だからエレベーターを利用する必要はない。彼は緋絨氈を敷いた階段をゆっくり降りた。
作品分類 小説(長編) 131P×1000=131000
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