題名 | 群疑 | |
読み | グンギ | |
原題/改題/副題/備考 | ||
本の題名 | 奥羽の二人■【蔵書No0140】 | |
出版社 | (株)講談社 | |
本のサイズ | 文庫(講談社文庫) | |
初版&購入版.年月日 | 1986/11/15●23版2002/12/16 | |
価格 | 495+税(5%) | |
発表雑誌/発表場所 | 「キング」 | |
作品発表 年月日 | 1957年(昭和32年)10月号 | |
コードNo | 19571000-00000000 | |
書き出し | 石川数正が、主人家康の使として、初めて羽柴秀吉に会ったのは、天正十一年の五月であった。当時、家康と秀吉は微妙な関係だった。その前年の六月、信長が京都で横死を遂げたとき、家康は泉州堺を見物していた。彼は途上で変を聞くと、蒼惶として伊賀、伊勢の間道を潜行して領国三河に遁げ帰った。俐口な家康は、爾来、上方の動乱に傍観の振りを見せながら、専ら甲信地方に働いていた。が、決して傍見をした訳ではなかった。いや彼の眼は、甲州韮崎で北条氏直の兵を引きつけた時ですら、目前の十五倍の敵軍よりも、京都の方を気遣わしげに見ていた。毛利と和睦して中国陣を撤去するや、たちまちのうちに明智光秀を敗北させ、一年たたぬ間に織田方随一の宿将柴田勝家を滅ぼした羽柴秀吉の疾風のような行動は、爾来、家康の注視の焦点に逐一入っていた。 | |
作品分類 | 小説(短編・時代) | 22P×540=9900 |
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