松本清張_不安な演奏

題名 不安な演奏
読み フアンナエンソウ
原題/改題/副題/備考  
本の題名 松本清張全集 11 歪んだ複写・不安な演奏【蔵書No0089】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1972/06/20●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「週刊文春」
作品発表 年月日 1961年(昭和36年)3月13日号〜12月25日号
コードNo 19610313-19611225
書き出し 雑誌編集者の宮脇平助は、誰にも教えない自分の巣を三軒持っている。浅草に一件、池袋に一件、新宿に一件。どれも安バーであった。彼は芸能欄の担当である。仕事の上で映画人とのつき合いが多い。酒もかなり飲むし、遊びも好きだった。三十二歳で、こういう仕事をしていると、世の中が面白くてたまらない。彼はつき合いでいろいろキャバレーやバーに入ることはあるが、この三つの巣だけは絶対誰も連れて行かなかった。ここは彼にとって何の気がねもなしに大きな顔をして愉しめる場所だった。第一、自腹となれば、酒は安いのに限る。女の子もちょっと誘う気になれないような連中ばかりだから、思わぬ費用がかかることもない。映画担当だから、切符は自由になるし、それを女の子に二,三枚もくれてやれば、大もてだ。彼がスター級の裏話のあれこれを真偽とりまぜて話してやると、店の女は、瞳を輝かして聞き入っている。宮脇平助は、一件、無造作な格好をしているが、実は眼に見えぬところに彼の服装のお洒落があった。洋服にしても、ワイシャツにしても、飛びきり高いのだ。
作品分類 小説(長編) 248P×1000=248000
検索キーワード