松本清張_閉じた海

題名 閉じた海
読み トジタウミ
原題/改題/副題/備考 書き下ろし 
本の題名 松本清張の世界  文藝春秋 NOVEMBER 臨時増刊【蔵書No0165】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A3(普通)
初版&購入版.年月日 1973/11/10●初版
価格 520
発表雑誌/発表場所 「文藝春秋臨時増刊」
作品表発表 年月日 1973年(昭和48年)11月
コードNo 19731100-00000000
書き出し 僧侶四人の読経が終わり、喪主、葬儀委員長、遺族、参列者の主だった人たちが進行係の指名で順序よく霊前に焼香した。喪主である故人の妻は現れずに、その弟という三十すぎの丈の高い、色の黒い男が、会葬者の顔ぶれを意識してか荘重な様子を少々演技がかって振舞った。相貌は、祭壇の白い小菊に囲まれた故人の顔写真とは部分的に似ていた。斎場の中はスチームがきいて、喪服の下に厚着をしてきた人には汗ばむくらいだった。熱い南方で生命を終えた故人の告別式に、このスチームの利き具合はすさわしいようだった。三月の初めで、戸外は雪がちらつうていた。参列者は椅子席いっぱいだった。邦栄海上火災保険株式会社社員の葬儀で、祭壇には花輪が盛り上げられていた。
作品分類 小説(中編) 35P×2000=70000
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