題名 | 脱出 | |
読み | ダッシュツ | |
原題/改題/副題/備考 | ||
本の題名 | 奥羽の二人■【蔵書No0140】 | |
出版社 | (株)講談社 | |
本のサイズ | 文庫(講談社文庫) | |
初版&購入版.年月日 | 1986/11/15●23版2002/12/16 | |
価格 | 495+税(5%) | |
発表雑誌/発表場所 | 「講談倶楽部」 | |
作品発表 年月日 | 1956年(昭和31年)12月号 | |
コードNo | 19561200-00000000 | |
書き出し | 石州浜田城主五万四千石、古田兵部少輔重恒は、偏屈な男で、性来、人と交わるのがあまり好きではなかった。神経質で、顎が尖って、いつも蒼白い顔をしている。もとから気鬱症だったが、だんだんひどくなった。柳営に登城する日は、柳の間に詰めるのだが、そこで一緒になる諸大名と話を交わすのはもとより、挨拶するのも気鬱げだった。誰とも口を利くのが大儀なのである。それ位だから、上屋敷にいても家来たちに顔を合わせることも厭になった。誰も寄せつけないで、己の居間に、じっと引籠もっているのであった。「どうも気分が快くないしばらく登城せぬから、そのように届けてくれ」と重恒は側衆の山田十右衛門に言った。「畏まりました。御老中方へは御病気の旨をお届け仕ります。御気色が勝れさせねば、ご全快まで御登城御遠慮は至極と存じます。その間、専一に御養生を願い上げます」十右衛門は秀麗な眉を開いて、そう答えた。 | |
作品分類 | 小説(短編・時代) | 19P×540=10260 |
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