松本清張_二すじの道

題名 二すじの道
読み フタスジノミチ
原題/改題/副題/備考  
本の題名 五十四万石の嘘【蔵書No0199】
出版社 中央公論社
本のサイズ 文庫(中公文庫)
初版&購入版.年月日 1980/06/10●8版1986/09/20
価格 280/古本 59(税5%込み)+送料340
発表雑誌/発表場所 「キング」秋の増刊号
作品発表 年月日 1954年(昭和29年)10月号
コードNo 19541000-00000000
書き出し 炎天の下を土煙をあげて西に急いでいる騎馬の軍勢がある。江州守山の附近であった。慶長十九年夏五月の梅雨明けの暑さである。照りつける陽で草も木も茹だったように生色がない。この軍勢は越後六十万石松平上総介忠輝の部隊である。忠輝は家康の六番目の男子だ。今度、大坂の豊臣秀頼方との二度目の手切れにより、大和口の大将を承って合戦に急いでいる途中であった。急いでいるのには理由があった。忠輝の軍が美濃まで来た時、紀州浅野長晟の軍勢が既に泉州樫田で交戦しているという報告が入ったからである。戦機に遅れないためだった。「急げ、早く、早く」二十四歳の忠輝が黒い顔で叱咤した。忠輝は眦裂け、唇大きく、色黒い醜顔である。母は容姿艶麗な阿茶(遠州金谷の鍛冶屋職の後家)だが、生まれた時、その顔を眺めた家康が、「可愛気のない顔だな。棄てよ」と、渋面をつくったといわれるくらいである。
作品分類 小説(短編・時代) 22P×580=12760
検索キーワード