(原題=雲を呼ぶ)
題名 | 火の縄 | |
読み | ヒノナワ | |
原題/改題/副題/備考 | (原題=雲を呼ぶ) | |
本の題名 | 松本清張全集 26 火の縄 小説日本芸譚/私説・日本合戦譚■【蔵書No0108】 | |
出版社 | (株)文藝春秋 | |
本のサイズ | A5(普通) | |
初版&購入版.年月日 | 1973/03/20●初版 | |
価格 | 880 | |
発表雑誌/発表場所 | 「週刊現代」 | |
作品発表 年月日 | 1959年(昭和34年)5月17日号〜12月27日 | |
コードNo | 19580517-19591020 | |
書き出し | 夏のさかり、細川藤孝、忠興の父子が、忠興の舅、惟任光秀と一緒に、信長に呼ばれて安土城に赴いたことがある。藤孝が、まだ、山城国勝竜寺城に居た天正八年のことである。信長は、暑い、暑いと云いながら、肌脱ぎになり、自慢の天守閣などを、光秀や細川父子に見せまわり、「どうじゃ。南蛮の工夫をとり入れた、変わったものだろう」と、尖った顎に伸びたうすい髯を撫でて自慢した。三人が口をそろえてほめると、「おれの工夫は、もう一つある。この城が平地にあることだ。今までは山城だが、おれにはそんな要害は要らん、見ろ、この城は平野に立っているから、どこからでも攻めてこられる。西国衆だって、湖水を船で漕いでくればわけはない。こんな開け放しの城はないぞ」信長は大きな声で云った。「おれには山岳の要害を恃む必要はない。なんでかというと、敵から攻められることがないのだ。こちらから攻めに行くだけだ。防御の最上の策が攻撃ということを知っているか」小姓に南蛮人献上の羽根団扇で煽がせても、信長の広い額から玉の汗が消えなかった。 | |
作品分類 | 小説(長編・時代) | 158P×1000=158000 |
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