題名 | 賞 | |
読み | ショウ | |
原題/改題/副題/備考 | 【重複】〔(株)文藝春秋=松本清張全集36〕 | |
本の題名 | 延命の負債■【蔵書No0017】 | |
出版社 | (株)角川書店 | |
本のサイズ | 文庫(角川文庫) | |
初版&購入版.年月日 | 1987/06/25●初版 | |
価格 | 380 | |
発表雑誌/発表場所 | 「新潮」 | |
作品発表 年月日 | 1957年(昭和32年)1月号 | |
コードNo | 19570100-00000000 | |
書き出し | 私が粕谷侃陸という名を知ったのは、随分前からであった。この人の著書は、かなりな古本屋なら殆ど置いている。私の見る限りでは、たいていは棚の上の方の、天井近いところにならべて埃を浴びていた。手も届かないそんな高いところにある本は、あまり動きそうもない品であろうか、粕谷侃陸の書物がそういう種類の地味なものらしかった。彼の著書は二つあって、一つは千ページ近い厚さで上下からなる「古社寺願文の研究」という戦前出版の大部なものと、一つは戦時中に出した二百ページぐらいの「古社寺蔵の古文書」という小型のものとである。厚い二部の方は、戦前でも豪華な出版らしく、古代染色の文様を模した布製の装幀で、いかにも落ちついた重量感のあるものだが、もう一つは戦時中のせいもあってか、比較にならぬ薄っぺらな貧弱な本だった。私の眼に触れる彼の著書は、この二冊だけであった。 | |
あらすじ&感想 | 私と言う狂言回しの口で語られる「粕谷侃陸」は、誰かモデルでもいるのだろうか。
私と、粕谷侃陸の関わり合いが突然で都合が良すぎる感がある。 若き粕谷侃陸が得た「賞」は、彼の人生を変えてしまう。 本来なら、揚々たる将来が開け、その方面でチョットした存在として権威にでもなれたのであろう。 しかし、時として、若くして得た「賞」は重荷になり、重荷は彼を潰してしまう。 文学賞にも「芥川賞」「直木賞」など、イロイロあるが若くして一発屋的に賞を射止め、 将来を嘱望されながら次なる作品が書けず、そのまま終わる人もいる。 「賞」に頼った生活をする粕谷侃陸は、多少ともその権威の威力を保てる地方都市で 詐欺的行為によって生活の糧を得る。 しかし、その詐欺的行為は、いかにもだまされる方が悪いとでも言いたげな粕谷侃陸の 態度によって「賞」の権威をあざ笑っている。 権威であるはずの「賞」は、その後の彼にとっては復讐の対象なのか。 『ふと粕谷侃陸の大きな「学士院賞受賞」の名刺を思い出した。 しかし、一体、賞の実体とは何であろうか?彼は「賞」へ復讐しているように思えた。』 2001年04月07日 記 |
|
作品分類 | 小説(短編) | 18P×600=10800 |
検索キーワード | 古本屋・古文書・学士院賞受賞・詐欺・地方都市 |
登場人物 | |
私 | 狂言回し |
粕谷 侃陸. | 学者?・カスヤカンロク |