題名 | 新開地の事件 | |
読み | シンカイチノジケン | |
原題/改題/副題/備考 | ||
本の題名 | 証明■【蔵書No0193】 | |
出版社 | (株)文藝春秋 | |
本のサイズ | 文庫(文春文庫) | |
初版&購入版.年月日 | 1976/04/25●12版2004/0525 | |
価格 | 419+税(5%) | |
発表雑誌/発表場所 | 『オール読み物』 | |
作品表発表 年月日 | 1969年(昭和44年)2月号 | |
コードNo | 19690200-00000000 | |
書き出し | 都会に密集した家屋は、異なった生活集塊の様相と、隣人との孤絶関係で成り立っているという組み合わせから犯罪の伏在を容易に想像させる。実際、その猥雑さと秘密な閉鎖性と、複雑な建築様式とは他人の眼に入る一分の隙もないくらいに内部を隠している。その上、住人のほとんどは流れ者で素性が分からない。長い間そこに居住している者でも隣人について本当の知識をもっていない。上面は互いの機嫌を損ねない柔らかな会話を交わしているが、それが当人の性格でないことは相手の方で知っているし、その話も決して自分のことには深く触れさせない。こういう秘匿的な人間が相互に断絶し、しかも軒を重ねた家屋内に住んでいるから、犯罪発生には適切な条件を備えているように見える。それにくらべると、田舎は−−遠い地方に出かけるまでもなく、東京の近郊を眺めるだけでよい、そこには疎らな家屋をとり囲んだ防風林があるか、山裾の杉林があるかである。 | |
作品分類 | 小説(短編) | 59P×540=31860 |
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