松本清張_花氷

題名 花氷
読み カヒョウ
原題/改題/副題/備考  
本の題名 花氷【蔵書No0032】
出版社 (株)講談社
本のサイズ 文庫(講談社文庫)
初版&購入版.年月日 1974/06/15●7版1976/10/25
価格 380
発表雑誌/発表場所 「小説現代」
作品発表 年月日 1965年(昭和40年)1月号〜1966年(昭和41年)5月号
コードNo 19650100-19660500
書き出し 赤坂の午後十一時ごろ、溜池の停留所から乃木坂に向かう通りをちょっと入ったところ。この辺りは表通りほど灯りがかたまってなく、適当に暗く、適当に静かな明かりがある。近くには一流の料亭街もあるし、キャバレーや、ナイトクラブ、高級ホテルもかたまっているし、名の知れたレストランや、お座敷料理の家もある。赤坂一帯のなんとなく高級な雰囲気を、この裏通りにも流している。その中で「甚六」というすし屋は、いいネタと、一ゲンの客を断ることで、これも高級な雰囲気をまとった店である。十一時ごろだと、まだすし屋にも派手な連中が来ていない。ナイトクラブもバアも十二時前に店が終わるから、そのころになって客と一緒にどっと押しかけてくる。腹が減っている頃合いだ。仕事の終わった解放感と、サービスする側がサービスをうける位置の転倒で、女たちはよく食べる。客に連れられてくると、金の心配はない。
作品分類 小説(長編) 408P×610=248880
検索キーワード 不動産屋・国有地払い下げ・代議士・東陽銀行・赤坂・新宿・支店長・政界
【裏】不動産ブローカーの粕谷は、元愛人の登代子と銀行員坂本の仲に目をつけ、詭計で支店長黒川を脅迫する。粕谷が狙う一攫千金の野望は国有地の払下げにあった。資金のメドのついた彼は、臆面もなく政界実力派の代議士に接近してゆく。腐敗する政界裏面と、飽くことのない欲望に奔走する男の黒い構図を描く異色作。