松本清張_アムステルダム運河殺人事件

題名 アムステルダム運河殺人事件
読み アムステルダムウンガサツジンジケン
原題/改題/副題/備考  
本の題名 松本清張全集 13 黒い福音 アムステルダム運河殺人事件・セントアンドリュースの事件【蔵書No0091】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1972/02/20●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「週刊朝日カラー別冊T」
作品発表 年月日 1969年(昭和44年)4月号
コードNo 19690400-00000000
書き出し 一九××年八月二十六日の夕方五時ごろのことである。アムステルダムのヤコブ・ファン・レネップ運河の西河岸通りでマルホ・アンティニクという八つの少女が友だちと遊んでいた。夏の北ヨーロッパのこの時間はまだ真昼間だし、炎天の下である。このオランダの旧くて賑やかな商業都市を訪れた旅行者は、まず遊覧船に乗って定められた運河めぐりをするのが普通となっている。両岸の、赤い煉瓦に統一された狭隘な間口の商館や住居、その白い窓に出された赤い花、川沿いの通りの並木の下にならんだおびただしい自転車、パイプをくわえて歩く人々、すべて音もなく水の上に影を落としている。ボートはその色彩的な倒影を静かに崩しながら、いくつかの橋の下をくぐって進む。背の高いガイド嬢は、大小の運河に三百の橋がかかっていることや、画家レンブラントゆかりの家、第二次大戦のナチの犠牲者アンネ・フランクの家などを指摘し、十七世紀におけるアムステルダムの黄金時代を回顧的に説明し、その合間にマイクをはずして煙草をふかす。オランダ人はそうじてチョコレートと煙草が好きである。
作品分類 小説(中編) 79P×1000=79000
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