松本清張_砂漠の塩

題名 砂漠の塩
読み サバクノシオ
原題/改題/副題/備考  
本の題名 松本清張全集 19 霧の旗・砂漠の塩【蔵書No0100】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1971/07/20●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「婦人公論」
作品発表 年月日 1965年(昭和40年)9月号〜1966年(昭和41年)11月号
コードNo 19650900-19661100
書き出し 窓の外は依然として白い色がつづいていた。野木泰子は、ときどき、うす眼をあけてはそれを眺めた。眼にうつる変化は何もなかった。機内の客は、ほとんど話し声を絶ち、眠るか、本を読むかしていた。一人の日本娘を含めたスチュワーデスは三時間前に昼食とも夕食ともつかぬものを運んでからは姿を消ししてしまい、懶い機関の音だけが足もとに震えていた。乗客の大体三分の一くらいで、三つならんだ椅子席が、どの列も一つか二つ空いていた。泰子の座っている隣りの席も二人ぶんの手回り品の置き場所になっている。その隣りは、新聞社に勤めているという三十歳の女が椅子を倒して頭をうしろに投げ出していた。日本人が四割、外国人が六割くらいだった。このパリ行きのエール・フランス機の乗客に日本人が多いのは、泰子もその一員となった旅行社の観光団が十五人いるからであった。
作品分類 小説(長編) 176P×1000=176000
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