松本清張_小さな旅館

題名 小さな旅館
読み チイサナリョカン
原題/改題/副題/備考  
本の題名 松本清張全集 38 皿倉学説・短編4【蔵書No0137】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通) 
初版&購入版.年月日 1974/07/05●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「週刊朝日別冊」・緑陰特別号
作品発表 年月日 1961年(昭和36年)7月
コードNo 19610700-00000000
書き出し 俺が順次に殺意を持ったのは、半年くらい前である。しかし、その予備的な発生は、すでに二年前に遡ると云ってよかろう。順治は長女敦子の婿養子である。敦子は二十八歳、順治は三十二歳である。間に隆という三つのになる男の子がいて、俺の唯一の孫だ。順治は或る商事会社の課の次長をしている。彼はさる有名な大学を卒業し、入社してからの昇進が早い。これだけなら、俺は申し分ない養子を貰ったと云っていい。少なくとも、世間にはそう聞こえるであろう。事実、俺も順治を婿養子にしたのは、この経歴と、彼の才能(のちに、それが軽薄以外の何ものでもないと分かったが)に眼を晦ませられたのだ。俺が順治を殺そうと覚悟したのは、一つは敦子を奪われたくないからであり、一つは自分の財産を防衛したいからであった。
作品分類 小説(短編) 17P×1000=17000
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