題名 | 行者神髄 | |
読み | ギョウジャシンズイ | |
原題/改題/副題/備考 | ●シリーズ名=文豪 ●全3話 1.行者神髄 2.葉花星宿 3.正太夫の舌 |
単独作品として登録 |
本の題名 | 文豪■【蔵書No0202】 | |
出版社 | (株)文藝春秋 | |
本のサイズ | 文庫(文春文庫) | |
初版&購入版.年月日 | 2000/06/10●初版 | |
価格 | 562+税(5%)/古本349=(9+送料340) | |
発表雑誌/発表場所 | 「別冊文藝春秋123〜127」 | |
作品発表 年月日 | 1973年(昭和48年)3月号〜1974年(昭和49年)3月号 | |
コードNo | 19730300-19740300 | |
書き出し | 一月下旬から伊豆の伊東に仕事を持って行っていたわたしは、一週間ぶりに宿をひきあげることになった。伊東駅から電鉄に乗らずタクシーで熱海に向かったのは、電車待ちの退屈をきらったのでもなく、一刻も早く熱海駅から新幹線の「こだま」をとらえて帰京を急ぎたいからでもなく、伊東の宿に滞在している間に果たせなかった熱海市の水口町に行っててみたかったからだ。宿では締切の迫った原稿を書いていたので、近くなのにその時間がなかった。二月初めのその日は朝から小雨が降ったり熄んだりして、海岸沿いを走るタクシーの窓からは近くの波しか見えず、沖合は灰色の海霧が黒い斑ら雲につづき、東の空ほど暗くなっていた。「熱海はどこですか?」 錦ヶ浦を越えたところで運転手は髭の濃い顔を半分横にしてきいた。 |
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作品分類 | 小説(長編) | 200P×510=102000 |
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