松本清張_乱灯(上) 江戸影絵(改題)

(原題=大岡政談)

題名 乱灯(上) 江戸影絵
読み ラントウ_01(ジョウ) エドカゲエ
原題/改題/副題/備考 (原題=大岡政談)
乱灯(上) 江戸影絵
乱灯(下) 江戸影絵
本の題名 乱灯(上) 江戸影絵【蔵書No0155】
出版社 (株)角川書店
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1985/12/01●初版
価格 1200
発表雑誌/発表場所 「朝日新聞」夕刊
作品発表 年月日 1963年(昭和38年)3月21日〜1964年(昭和39年)4月29日
コードNo 19630321-19640429
書き出し 享保七年四月二十一日のことであった。江戸城辰の口にある評定所の門前に足早に寄ってきた浪人風の男がいた。彼は手にうすい本のようなものを持っていた。評定所前の濠に上にも、隣の伝奏屋敷の大きな屋根の上にも、初夏めいた午前の陽射しが溜まっていた。男は、木目の浮いた門の柱につり下がっている四角な木箱を立ちどまって見ていた。縦一尺、横八寸、深さ一尺二寸ばかりのもので、表には「目安箱」と墨書してあった。上に穴があいていた。男は、何となく左右を見ていたが、南側の細川越中屋敷の海鼠塀が明るい陽を吸っている以外、そして、和田倉門の松の梢に風が渡ってかすかに葉を動かしているほかは、人影は見えなかった。評定所は、国事犯と、社寺、町方の両奉行所の管轄にわたっている訴訟を裁く最高権威の裁判所だが、今日は何もないとみえ、門前の土手に腰をかけて呼出しを待っている訴訟人の姿もみえなかった。
作品分類 小説(長編・時代) 814P×580=472120(399P+415P)
検索キーワード  
【帯】本格長編時代推理
将軍徳川吉宗の下に届けられた怪文書。南町奉行大岡越前探索の内に起きる、連続殺人事件の謎とは?