研究室_蛇足的研究

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2024年12月21日


清張作品の書き出し300文字前後で独善的研究!




研究作品 No_163

(シリーズ作品/黒い画集:第九話)

そのころ、私は肝臓を悪くして、都内のある町にある朝島病院に入院していた。この朝島病院というのは、かなり古い病院で、一般にも名前が知られていた。●蔵書【松本清張全集 4】(黒い画集)文藝春秋社●「週刊朝日」1960年(昭和35年)4月10日号〜6月15日号
〔週刊朝日〕
1960年(昭和35年)4月10日号〜6月15日号


そのころ、私は肝臓を悪くして、都内のある町にある朝島病院に入院していた。この朝島病院というのは、かなり古い病院で、一般にも名前が知られていた。というのは、その先代の院長がかなり有名な臨床医で、当時、ある宮家の主治医をしたこともあったからである。今の院長はその息子だが、その病院はちょっと衰微していた時期がある。院長の医学博士朝島憲一郎は、四十七八歳ぐらいで、それほど悪い腕ではないが、先代が偉かったせいか、二代目になると、見劣りする印象を世間に与えたらしい。病院が一時衰微したのは、彼に力がなかったからでなく、そのためとも思われた。ところが二年ぐらい前から、この病院はまた繁盛しはじめ、私が入院したときは、新しい病棟を増築して、それが完成したところであった。私はその新館の個室にはいったのだが、新しいだけに設備も良く、明るくてなかなか快適であった。朝島院長は、毎日一回は病室にまわってきた。この人は色の白い好男子で、背がすらりと高く、いかにも名医の息子といった感じだった。五十近い年輩なので、息子というのも変だが、この人のおっとりした態度の中には、その感じが否めなかった。
全集でも九話。
清張作品には、病院が登場する小説はかなりあると思う。
「病院」がテーマの作品では、『わるいやつら』を思い出す。
検索テーマ別で、拾い出してみた。
●書き出し
疑惑(改題)
延命の負債
草の径 第八話 夜が怕い (全集:八話)
黒の図説 第一話 速力の告発
絢爛たる流離 第四話 走路
黒い画集 第九話 
春の血
わるいやつら
喪失の儀礼(改題)
巻頭句の女
与えられた生
●キーワード
延命の負債
死の枝(改題) 第八話 不法建築
春の血
●あらすじ&感想
混声の森
疑惑(改題)
延命の負債
眼の壁
黒の図説 第九話 遠い接近
球形の荒野
絢爛たる流離 第四話 走路
絢爛たる流離 第九話 代筆
死の枝(改題) 第八話 不法建築
十万分の一の偶然
黒の様式 第二話 犯罪広告
黒い福音
春の血
或る「小倉日記」伝
父系の指
隠花の飾り 第九話 箱根初詣で
隠花の飾り 第十一話 遺墨

検索の3項目で『延命の負債』と『春の血』が、共通で登場した。

書き出しは、朝島病院と医院長朝島憲一郎の紹介と言った感じで、はたして、病院が主体の話なのか、
そこに入院している「私」の話として展開するのかまだ判断できない。
一口に『病院』と言っても、規模は様々だ。
病院で、病床規模が100 床〜499 床の病院をいう。
「大病院」:特定機能病院、療養型病床群を有する病院及び老人病院以外の一般病院で、病床規模が500床以上の病院をいう。