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検索キーワードに見る清張作品の傾向と対策?

(その三十七:偽名)

清張作品の書き出し300文字前後からあぶり出すキーワード!
(登録キーワードも検索する)


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●偽名
キーワードで検索すると、「「隠り人」日記抄(草の径/第四話)」・「球形の荒野」・「失踪(黒い画集/第四話)」の三作品がヒットする。
書き出しでは、「黒革の手帖(下)」だけだった。
あらすじ、感想で検索すると、、「「隠り人」日記抄」・「球形の荒野」・「失踪(黒い画集/第四話)」・「逃亡」(原題=江戸秘文)」・「点と線」・「砂の器」・
けものみち」・「」の8作品がヒットする。
いつもながら、感想で書いた内容がそのままキーワードとして反映しているわけではないので、当然の結果と言える。
よくよく考えてみれば、「偽名」は、まだまだあると思う。
目の壁」の船坂英明(山崎を名乗る/本名:梅村音次)を思い出すことができる。
この作品に「偽名」のキーワードを残していなかったことが不思議だ。
以下思いつくままあげると
時間の習俗
考える葉
濁った陽
数の風景
市長死す
赤い氷河期(上・下)
「出てくる出てくる」といった感じで、本格的に調べれば相当な数に上りそうだ。

作品によっては、「偽名」自体が重大な役目を果たしているわけでは無い。
作品別に少し詳しく...
●「「隠り人」日記抄(草の径/第四話)
矢部治郎(本名/飯塚盈延)
これは作品が少し特殊で、スパイの話。内容的にも「偽名」が中心的な作品とも言える。
本名飯塚盈延は、仲間を裏切り逃亡生活を余儀なくされる。当然名前も変えて潜伏生活を送ることになる。
●「球形の荒野
偽名を使わざるを得なかったといえるが、チョットした郷愁から本名を秘して偽名を使う。
本名は、野上顕一郎。野上は、寺院の芳名帳に「田中孝一」の名を使う、今は。ロベール・ヴァンネードになりきっている。
この作品には、たくさんの偽名が登場する。作品の性格からも納得できる。
●「失踪(黒い画集/第四話)
横内健彦は、横内保の偽名を使う。架空の人物である淵田岩男の秘書というふれこみだが、名前だけの変更で、あまり意味は無いと思われる。
そもそも、淵田岩男自体が架空なのでこの程度でよいのだろう。
下沢敏行が横内保を名乗っていて、下沢敏行と山本秀夫は同一人物らしい。 このあたりの人間関係はややこしい
▲ 「目の壁
船坂英明(山崎を名乗る/本名:梅村音次)は、印象深い。
上崎 絵津子(黒池幸子)
山本 一男(堀口次郎/黒池健吉)
など、偽名の登場が多い。
■ 「点と線
主人公の安田辰郎(安田機械工具商会社長)がアリバイ工作のために他人になりすます。
「偽名」とは少し違うが、実在の人物になりすますことで話を展開している。
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私は今まで偽名を使ったことはありません。
おそらく皆さん同じでは無いでしょうか?
ただ、ペンネームには憧れがありました。
別にものを書くようなことも無く暮らしてきましたが、ひょんな事から多少文章らしきものを書くはめになり、
ペンネームを考えました。確かきっかけは、ホームページの作成だったと思います。
素不徒 破人」(ソフトハヒト)が最初だったと思います。
ほぼ同じ時期に労働組合の役員をしていて、機関誌に文章を書くことになり、名前を考えました。
機関誌のコラムで「水行末・雲来末・風来末」と言うコーナーでした。
大げさに言えば、別人格を得たようで、『素不徒破人』は大いに気に入って、以後使っています。
ペンネームと偽名はかなり違いますが、別人格を得ようとする行為という意味では同じかもしれません。

今回は手始め的に書き出してみたが、その特徴をもう少し考えてみたいと思いました。次回に譲る。
「今度とお化けは出たことがない」のたとえ通り、次回はいつになることやら...


2026年06月21日

 



題名 「偽名」 上段は登録検索キーワード 
 書き出し約300文字
「隠り人」日記抄(草の径/第四話) スパイM・松村・共産党幹部・特高の手先・隠遁生活・ヒモ・内縁の妻・料亭・ひさご亭・偽名・転向・借金地獄・家賃の値上げ 
昭和三十三年三月十一日思いたって一時半ごろから使い古した釣竿と魚籠を持って家を出た。家といっても間口二間に奥行二間の二階建て。これが狭い一間通路をはさんで片側八軒の棟割り長屋である。通路は南の大通りから北の裏通りへ通り抜けとなっている。南が入り口で、北が出口だ。おれの家は北出口の右角の隣りである。この十六軒長屋は、もともと地主が「市場」用に四十年前に建てたもので、各軒とも階下の半分は店舗用に漆喰のたたきにし、奥の半分は畳敷きである。その畳敷きの隅に階段がついて階上にあがる。階上は六畳が一間と押入があるだけ。窓は外側についている。
球形の荒野 中立国・公使館・終戦工作・外交官・武官・米芾・芳名帳・唐招提寺・モデル・フランス人・新聞記者・偽名・国威復権会・筒井屋
芦村節子は、西の京で電車を下りた。ここに来るのも久し振りだった。ホームから見える薬師寺の三重の塔も懐かしい。塔の下の松林におだやかな秋の陽が落ちている。ホームを出ると、薬師寺までは一本道である。道の横に古道具屋と茶店をかねたような家があり、戸棚の中には古い瓦などを並べていた。節子が八年前に見たときと同じである。昨日、並べた通りの位置に、そのまま置いてあるような店だった。空は曇って、うすら寒い風が吹いていた。が、節子は気持ちが軽くはずんでいた。この道を通るのも、これから行く寺の門も、しばらく振りなのである。夫の亮一とは、京都まで一緒だった。亮一は学会に出るので、その日一日その用事に取られてしまう。旅行に二人で一緒に出るのも何年ぶりかだ。彼女は、夫が学会に出席している間、奈良を歩くのを、東京を発つときからの予定にしていた。薬師寺の門を入って、三重の塔の下に立った。彼女の記憶では、この前来たときは、この塔は解体中であった。そのときは、残念がったものだが、今は立派に全容を顕わしていた。いつも同じだが、今日も、見物人の姿がなかった。普通、奈良を訪れる観光客は、たいていここまでは足を伸ばさないものである。
失踪(黒い画集/第四話) 捜査資料・不動産詐欺・台湾人・偽名・失踪・年齢の間違い・古物商・リヤカー・デシン・ギャバン・デパートの店員・無実の罪・アリバイ・証言 
.昭和二十五年のこと、東京都中野区氷川町××番地に新築間もない家を買い、一人で住んでいた竹下幸子という若い女が、事情があってその家を売ることになり、売買契約が出来て、四月十三日の夜、その買い主といっしょに外出したまま行方不明となった事件が起こった。竹下幸子は二十一歳で、もとデパートの店員をしていたが、大阪のある機械商に見そめられ、勤めを止して、氷川町に新地したばかりの家を買ってもらって愛人となった。その機械商は上京毎に彼女の家に滞在した。そのうち、機械商の熱が冷め、この生活も長続きはせず、幸子は自然に捨てられた恰好になった。手当も絶えて生活に困った彼女は家を売ってそれをもとに洋裁店でも始めようと思い、豊島区千川町××番地に住む両親にも相談した上、不動産売買仲介業者に買い手の斡旋を頼んだ。その後、某繊維会社社長淵田岩男と直接交渉となり、同人に三十五万円で売ることになっていた。
黒革の手帖(下) ※まだ紹介作品ではない
四日間、安島からも島崎すみ江からも元子に電話はなかった。橋田常雄も店に姿を現さなかった。安島は江口老人に話をすすめてくれていると元子は思う。とくに待ったのは、すみ江からの連絡だった。「梅村」には、たとえ偽名でもこっちから絶対に電話をかけないことにしている。よそから電話がかかることは滅多にないというすみ江の立場を考えて、「梅村」のおかみや従業員らに不審を起こされないためである。五日目の午後1時前に、すみ江からようやく電話がきた。「ママさん。ご無沙汰しました。お変わりありませんか」すみ江の挨拶はいつも丁寧だった。「あら、あなたの電話を待っていたのよ」口先だけでなく、正直そうだった。「そうですか、済みません。この四,五日、思いがけずお店が忙しかったもんですから」「いま、どこから?」受話器の背後に、車の音と人の話し声とが入っていた。「一ツ木通りの赤電話からです。用達しにお店を出たついでです」「梅村」に住み込みのすみ江は自由な時間があまりないという。

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