題名 |
考える葉 |
読み |
カンガエルハ |
原題/改題/副題/備考 |
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本の題名 |
考える葉■【蔵書No0033】 |
出版社 |
(株)光文社 |
本のサイズ |
新書(KAPPANOVELS) |
初版&購入版.年月日 |
1962/05/15●119版1976/10/20 |
価格 |
600 |
発表雑誌/発表場所 |
「週刊読売」 |
作品発表 年月日 |
1960年(昭和35年)6月3日号〜1961年(昭和36年)2月19日号 |
コードNo |
19600603-19610219 |
書き出し |
その男は銀座を歩いていた。彼は、三十五六ぐらいに見えた。大きな男で、体格がいい。薄ら寒い宵だが、オーバーも何もなかった。くたびれた洋服を着、踵の減った靴をはいていた。ネクタイは手垢で光り、よじれていた。だが、彼は、伸びた髪をもつらせ、昂然と歩いていた。すれ違った者が思わず顔をしかめたのは、その男の吐く息がひどく酒臭かったからだ。夜の八時ごろというと、銀座は人の出の盛りである。四丁目の交差点から新橋側に歩き、さらに最初の区画を右にはいると、高価な商品を売ることで名の高い商店街がある。どの店もしゃれた商品をならべ、通行人の眼をウィンドーの前にひいていた。品もいいが、溜息が出るほど高い正札がついいていた。この通りをどこでもいいが、左に曲がっても右に曲がっても、夜の銀座の中ではいちばん人の歩きが多かった。 |
作品分類 |
小説(長編) |
312P×700=218400 |
検索キーワード |
銀座・ステッキ・留置所・新興財閥・保守党・調査団・隠匿物資・硯の原石・硯職人・軍需工場跡・軍需省雇員・錫・白銀・ピストル・裏切り者・書道 |