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疑問 09 蛇足的疑問 「全集に収録された作品と収録されなかった作品」 は、何が違うのか? |
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はじめに 全集とは(株)文藝春秋刊行の『松本清張全集』(全66巻)を言う。 最終巻が、1996年3月30日刊行で、松本清張没後四年を経過して完成している。(参考/清張略歴) 全集は、(株)文藝春秋の意向、版権の権利関係など収録作品は検討されたと思う。 当然、松本清張本人の意向も反映されているはずだが、 今回は、全集に収録されなかった作品、中でも長編小説に限って「蛇足的研究」... 全集は 前期(1巻~38巻) 1巻=1971/04/20●初版~38巻=1982/11/08●初版 中期(39巻~56巻)39巻=1982/11/08●初版~56巻=1984/01/17●初版 中期最後の全集は1984年である。1992年12月に清張は死亡している。 後期(57巻~66巻)57巻=1995/06/22●初版~39巻=1996/03/30●初版 1992年12月に清張は死亡している。全集の後期が始まるのは1995年。 ※前期から中期まで9年間掛かっている。中期から後期までは、11年間の空白がある。その間に清張が死亡していることが影響していると考えられる。 清張作品は、月刊雑誌(「文藝春秋」「オール讀物」等)や新聞(朝日新聞・毎日新聞等)や週刊誌(「週刊文春」「週刊新潮」)等に連載されたものが (株)文藝春秋・(株)新潮社・(株)角川書店・(株)光文社の(KAPPANOVELS)等で単行本化、文庫本されている。 書き下ろしの作品は殆ど無い。たぶん「暗い血の旋舞」だけでは無いだろうか? 特に長編作品は連載が終わるまでは一年以上かかっているものもある。連載終了後、単行本になり、全集収録となると、かなりのタイムラグになる。 ※【書き下ろし作品とは】 書き下ろし(かきおろし)とは、小説などが新聞や雑誌などへの掲載を経ずに直接本として出版されること、またはそのような作品自体を指す。 いいかえると、その本によって初めて作品が世に出たことになる。出版関連の用語であり、「掲載」「連載」に対応する概念である。 ①全集刊行の流れ ●全集 第 1巻【点と線・時間の習俗】(1971/04/20:初版) ●全集 第38巻【皿倉学説・短編4】(1974/07/05:初版) ●全集 第39巻(発売日:1982年11月08日) ●全集 第50巻(発売日:1983年03月17日) ●全集 第55巻(発売日:1984年04月19日) ●全集 第56巻(発売日:1984年01月17日) ●松本清張死亡(1992/08/04) ※生前最後の全集は、第56巻(発売日:1984年01月17日) ●全集 第57巻(発売日:1995年06月22日) ●全集 第60巻(発売日:1995年09月22日) ●全集 第66巻【老公・短編6】(1996/03/30:初版) ②主な長編小説 ----- ●全集収録作品 ----- ●【砂の器】は、全集の5巻に収録されている。(全集05:1971/09/20●初版) 1960年(昭和35年)5月17日~1961年(昭和36年)4月20日【読売新聞/夕刊】 ●【時間の習俗】は、全集の1巻に収録されている。(全集01:1971/04/20●初版) 1961年(昭和36年)5月号~1962年(昭和37年)11月号【旅】 ●【詩城の旅びと」は、全集の63巻に収録されている。(全集63:1995/12/20●初版) 月刊ウイークス 1988年(昭和63年)1月号~1989年(平成元年)10月号 ●【赤い氷河期】は、全集の63巻に収録されている。(全集63:1995/12/20●初版) 1988年(昭和63年)7月7日号~1989年(平成元年)3月9日号 「赤い氷河期(上)」 ・「赤い氷河期(下)」 (原題=赤い氷河期-ゴモラに死を) (1988年7月7日~1989年3月9日) ----- ▲全集未録作品 ----- ▲「考える葉」は、全集未収録 蔵書:(株)光文社【新書(KAPPANOVELS)】 【週刊読売】1960年(昭和35年)6月3日号~1961年(昭和36年)2月19日号 『考える葉』(かんがえるは)は、松本清張の長編推理小説。 『週刊読売』に連載され(1960年4月3日号 - 1961年2月19日号)、1961年6月に角川書店から刊行された。 太平洋戦争中の日本に秘蔵された財宝、隠匿物資をめぐって発生する連続殺人事件を描くミステリー長編。 1962年に東映で映画化されている。 ▲「異変街道」は、全集未収録 蔵書:(株)講談社 新書(KODANSHANOVELS)(上・下) 【週刊現代】1960年(昭和35年)10月23日号~1961年(昭和36年)12月24日号 『異変街道』(いへんかいどう)は、松本清張の長編時代小説。 『週刊現代』(1960年10月23日号 - 1961年12月24日号)に連載され、 1986年4月に講談社ノベルスから刊行された。後に電子書籍版も発売されている。 1993年にテレビドラマ化されている。 ▲「湖底の光芒」は、全集未収録 蔵書:(株)講談社【新書(KODANSHANOVELS)】 【小説現代】1963年(昭和38年)2月号~1964年(昭和39年)5月号 ▲「殺人行おくの細道」は、全集未収録 蔵書:(株)講談社 新書(KODANSHANOVELS)(上・下) 【ヤングレデイ】1964年(昭和39年)7月号6日号~1965年(昭和40年)8月23日号 『殺人行おくのほそ道』(さつじんこうおくのほそみち)は、松本清張の長編推理小説。 『ヤングレディ』(1964年7月6日号 - 1965年8月23日号)に連載され、1982年5月に講談社ノベルスから刊行された。 連載時のタイトルは『風炎』。後に電子書籍版も発売されている。 1983年・2007年にテレビドラマ化されている。 ▲「幻華」は、全集未収録 蔵書:(株)文藝春秋 (A5(普通)) 【オール讀物】1983年(昭和58年)2月~1984年(昭和59年)6月 ----- ■全集未録作品(訳あり作品) ----- ■「黒の回廊」全集収録 『松本清張全集 月報』1971年(昭和46年)4月~1974年(昭和49年)5月(全集購入者付録)】 ■「神々の乱心(上)」 ・「神々の乱心(下)」全集未収録(未完) 『週刊文春』1990年(平成02年)3月29日号~1992年(平成04年)5月21日号(病気のため休載) ■「江戸綺談 甲州霊獄党」全集未収録(未完) 『週刊新潮』1992年1月2日・9日新年特大号~5月15日(休載)9月3日遺稿発表 ■「暗い血の旋舞」全集未収録(書き下ろし) 『書き下ろし』1987年04月20日 ▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△ 一部だが、作品を年代順に並べてみたが、全集の未収録の理由は見当が付かない。 「訳あり作品」とした作品は、未完だったり、書き下ろしだったりでそれなりに理解出来るが... 未収録作品は、発表雑誌も「週刊読売」「週刊現代」「小説現代」「ヤングレデイ」「オール讀物」と、バラバラ。 年代別に見ても何もないようだ。 作品の内容は、『考える葉』だけ、紹介作品として最近取り上げたのでそれなりの印象があるが、取り立てて、全集に未収録とする遠因も考えられない。 作家の全集は、作品の内容はともかく、生涯の全作品が網羅されているものと勝手に考えていた。 生前に完結していたのであれば、作家本人の意向が反映されて取捨選択が行われた事も十分考えられるが、松本清張全集の場合 ●松本清張死亡(1992/08/04) ※生前最後の全集は、第56巻(発売日:1984年01月17日) 中期(39巻~56巻)39巻=1982/11/08●初版~56巻=1984/01/17●初版 中期の出版が終わった後に死亡している。はじめから後期の刊行が決まっていたのかどうか疑問だが、後期が始まるまで11年掛かっている。 編集の方法も初期の最後の第38巻に、「年譜 著書目録 ※年譜」がある。当初は、38巻で完結の予定だったのでは。 中期の作品群は、清張の創作活動も末期を迎え、後期の創刊が想定されていたとは考えにくい。 どうせ後期を刊行するのであれば、文字通り全集として全作品を網羅して欲しかった。 疑問に感じで調べてみたが、何一つ解決しなかった。これが結論だ! ●フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)の「松本清張の作品一覧」 に、【単行本・全集未所収】の項目があったので転記しておきます。 渓流 ※『小説春秋』1956掲載 1962年にNHKでテレビドラマ化 女に憑かれた男 ※『小説春秋』臨時増刊号1956.6掲載 甃 ※『女性自身』1964.6.15 - 12.21掲載→未完中絶 狩猟 ※『オール讀物』1966.1 - 1967.1掲載 松本清張対談 ※『文藝春秋』1968.1 - 12掲載 東久邇稔彦・池田大作・大森実・美濃部亮吉・大佛次郎・林武・橋本実斐・江上波夫・中山恒明・桑原武夫・松下幸之助と 石 ※『小説宝石』1969.12 - 1970.5掲載→未完中絶 トンニャット・ホテルの客 ※『野性時代』1974.5・6・8掲載→未完中絶、2012.3作品再掲(付録) 白い影 ※『ミセス』1981.6 - 1984.3掲載→未完中絶 江戸綺談 甲州霊嶽党 ※『週刊新潮』1992.1.2・9新年特大号 - 5.14掲載→病気のため休載 週刊新潮誌上で1992.9.3遺稿発表、2009.11.21作品再掲 『神々の乱心』とともに絶筆・未完 他に短編、戯曲、歴史論、エッセイ、対談、インタビュー記事等多数 2022年02月21日登録 |