松本清張_エッセイより_南北であった女

題名 エッセイより 南北であった女
読み エッセイヨリ アツイクニノスケッチ
原題/改題/副題/備考  1.「学歴の克服(重複)
 2.「実感的人生論
 3.「ほんとうの教育者はと問われて
 4.「碑の砂(重複)
 5.「「西郷札」のころ
 6.「作家殺しの賞
 7.「この10年
 8.「回想「酸素テントの中の格闘」
 9.「ヨーロッパ20日コースをゆく●《改題=はじめてのヨーロッパ》
10.「"地の塩"地帯をゆく
11.「ハバナへの短い旅
12.「暑い国のスケッチ
13.「南北であった女
14.「瑠璃碗記(重複)
15.「私のくずかご
16.「占領「鹿鳴館」の女たち
17.「政治と税金
18.「現代のヒズミ−税金」 
19.「小説でない「黒い霧」」 
20.「政治家の税金」 
21.「新権力論
22.「「政治」とよど号」 
23.「推理小説の読者(原題=推理小説時代)(重複A)
24.「日本の推理小説(原題=推理小説独言) (重複A)
25.「
推理小説の発想/小説と素材(重複A)
26.「推理小説の発想/創作ノート(重複A)
27.「私の黒い霧」(病床推理文学随想)
28.「推理小説の題材」(講演)
29.「灰色の皺
30.「私の小説作法(重複)
31.「小説に「中間」はない」 
32.「朝の新聞
33.「小説のなかの「私」への疑問
34.「大岡昇平氏のロマンチックな裁断
35.「文壇小説の陥没
36.「劉生晩期●《改題=岸田劉生晩景》(重複)
本の題名 松本清張全集 34 半生の記・ハノイで見たこと・エッセイより【蔵書No0105】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1974/02/20●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「小説新潮」
作品発表 年月日 1970年(昭和45年)8月号
コードNo 19700800-00000000
書き出し オランダの首都ハーグの北二キロぐらいに、スケェニンゲンという保養地がある。北海に面している海岸で、大きなホテルが十軒ぐらいならんでいるが、ここは日本人に「助平人間」の名で知られている。なんでもマグロ捕りの日本人漁船員がおぼえやすいように付けた名だそうだが、そこに日本料理と中華料理を出すレストランがある。主人はオランダ人、奥さんは中国人。五年前、私がそこに行ったときは、ちょうど開店日で、振袖姿で盛装した日本娘が四人いた。三人は日本から募集し、一人はインドネシアから来たという。今でこそヨーロッパには日本料理店がふえているようだが、床の間つきの小座敷があって、せまいながらも石灯籠のある模擬庭園というのは、そのころパリ以外には見られなかった。思いがけないところで、振袖に丸帯のお嬢さんだからなつかしかった。ジャカルタからきた娘さんは英語とインドネシア語しか話せない。事情をきいてみると、父親が日本の兵隊で、姓だけは分かっているが日本のどこに住んでいるのか消息が知れないという。その兵隊が四国出身であるのと、大工さんらしいということだけだった。
作品分類 エッセイ
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