松本清張_あとがき_松本清張全集 26 後記(あとがき)

題名 あとがき 松本清張全集 26 後記
読み アトガキ マツモトセイチョウゼンシュウ 26 コウキ
原題/改題/副題/備考 ●シリーズ名=小説日本芸譚
(原題=日本藝譚)

●全12話
 1.
古田織部
 2.
世阿弥
 3.
千利休
 4.
運慶〔(株)文藝春秋=全集26(第一話)(1973/03/20)〕
   
運慶〔(株)光文社=青春の彷徨〕
 5.
鳥羽僧正
 6.
小堀遠州
 7.
写楽
 8.本阿弥光悦
(光悦)
 9.葛飾北斎
(北斎)
10.
岩佐又兵衛
11.
雪舟
12.
止利仏師
●全集(全10話)
 1.
運慶
 2.
世阿弥
 3.
千利休
 4.
雪舟
 5.
古田織部
 6.
岩佐又兵衛
 7.
小堀遠州
 8.
光悦
 9.
写楽
10.
止利仏師
後記
本の題名 松本清張全集 26 火の縄 小説日本芸譚/私説・日本合戦譚【蔵書No0108】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1973/3/20●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「藝術新潮」
作品発表 年月日  
コードNo  
書き出し 昭和三十一年の秋の夜、新潮社のS氏が来て、「芸術新潮」に一年間、日本の古い美術家たちを小説風に書いてみては、とすすめた。過去の人間を書くのは私は好きである。私は歴史小説を書くようなつもりで引き受けた。今から思うと、めくら蛇の感じがする。もし私が日本美術史に精通していたら、怖気を震ってお断りしたに違いない。連載は三十二年の新年号からはじまったが、それからの一年間は苦渋の連続であった。予定の締切に間に合ったことがない。大半はその芸術家の調査に時間がつぶされた。調べてみて、大体の輪郭は分かっても、その人物のイメージがとれない。芸術家は存在しても、人間の所在が分からないのである。当人が芸術に被光されて、見えなくなっているのだ。芸術が人間の上にハレーションを起こしている。私は評伝めいたものを書くのではないから、資料として知りたいのは、その人物であった。美術史はその芸術を書き、評伝は年譜式に作品を紹介している。ここから人間の手がかりを得ることは少々困難であった。その芸術を通じて人間を追求するという方法は観念的すぎて、私には役に立たなかった。
作品分類 コメント/あとがき/補筆
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