(原題=日本芸譚)
題名 | 小説日本芸譚 第三話 千利休 | |
読み | ショウセツニホンゲイタン ダイ03ワ センノリキュウ | |
原題/改題/副題/備考 | ●シリーズ名=小説日本芸譚 (原題=日本芸譚) ●全12話 1.古田織部 2.世阿弥 3.千利休 4.運慶〔(株)文藝春秋=全集26(第一話)(1973/03/20)〕 運慶〔(株)光文社=青春の彷徨〕 5.鳥羽僧正 6.小堀遠州 7.写楽 8.本阿弥光悦(光悦) 9.葛飾北斎(北斎) 10.岩佐又兵衛 11.雪舟 12.止利仏師 |
●全集(全10話) 1.運慶 2.世阿弥 3.千利休 4.雪舟 5.古田織部 6.岩佐又兵衛 7.小堀遠州 8.光悦 9.写楽 10.止利仏師 ※後記 |
本の題名 | 松本清張全集 26 火の縄 小説日本芸譚/私説・日本合戦譚■【蔵書No0108】 | |
出版社 | (株)文藝春秋 | |
本のサイズ | A5(普通) | |
初版&購入版.年月日 | 1973/03/20●初版 | |
価格 | 880 | |
発表雑誌/発表場所 | 「藝術新潮」 | |
作品発表 年月日 | 1957年(昭和32年)3月号 | |
コードNo | 19570300-00000000 | |
書き出し | 利休は雪の中を大徳寺から帰った。天正十九年の閏正月の末である。七十歳の痩せた身体に寒さが沁みた。出迎えた妻の宗恩が表情を窺うようにしたが、いつもの不機嫌な顔で奥に通った。顴骨が出て、頬がすぼみ、顎のあたりで皮膚がたるんでいた。顔色に疲労があった。宗恩が、留守の間に、細川忠興から生貝のあぶり二百個が届いた旨を告げた。「そうか」いつもなら、すぐそれを見たい、というのだが、それはさだめし美味であろう、晩の膳に上すがよい、と云っただけで茶室に入った。利休は、炉の前に座ったまま、茶杓をとる様子もなく凝然と身体を動かさずにいた。もとから体格の大きな男だったが、腰が少し曲がって、前屈みの恰好は縮んだものだった。五徳には紹鴎の霰釜がかかっている。利休の眼はそれにぼんやり視線を当てていた。無論、頭の中では、別なことを考えていた。 | |
作品分類 | 小説(短編・時代/シリーズ) | 12P×1000=12000 |
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