松本清張_大奥婦女記 第十二話 天保の初もの

題名 大奥婦女記 第十二話 天保の初もの
読み オオオクフジョキトウボウ ダイ12ワ テンポウノハツモノ
原題/改題/副題/備考 ●シリーズ名=大奥婦女記
●全12話=全集(12話)
 1.
乳母将軍
 2.
矢島の局の計算
 3.
京から来た女
 4.
予言僧
 5.
献妻
 6.
女と僧正と犬
 7.
元禄女合戦
 8.
転変
 9.
絵島・生島
10.
ある寺社奉行の死
11.
米の値段
12.天保の初もの
本の題名 松本清張全集 29 逃亡・大奥婦女記【蔵書No0014】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1973/6/20●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「新婦人」
作品発表 年月日 1955年(昭和30年)10月〜1956年(昭和31年)12月
コードNo 19551000-19561200
書き出し 十一代家斉は、「やりたいことをやって」死んだ将軍である。彼くらい気儘な栄華をたのしんで死んだ将軍は居ない。侍妾、二十数人、その腹に生まれた子女は五十四人もあった。その子を他の代名たちの夫人にするのに、数が多すぎて困ったという話がある。貰った大名たちの中では、押しつけられて、有難迷惑だった向きもだいぶあった。家斉の時は、大奥、大名、旗本に至るまで奢侈を極めていた。賄賂は横行し、政治はだらしなく、腐敗していた。幕府の財政が窮乏したのは当然である。家斉の第一の籠妾がお美代の方である。彼女について賄賂を贈り、「何とぞ、拙者を西丸御老中にご推薦下され」と頼み込んだ若い大名がある。京都所司代水野越前守忠邦という利かぬ気の顔をした男であった。お美代の方は、水野の男らしい顔をじっと眺めていたが、にっこり笑って、「安心するが好い」と請け合ってくれた。
作品分類 小説(短編・時代/シリーズ) 7P×1000=7000
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