松本清張_大奥婦女記 第三話 京から来た女

題名 大奥婦女記 第三話 京から来た女
読み オオオクフジョキトウボウ ダイ03ワ キョウカラキタオンナ
原題/改題/副題/備考 ●シリーズ名=大奥婦女記
●全12話=全集(12話)
 1.
乳母将軍
 2.
矢島の局の計算
 3.京から来た女
 4.予言僧
 5.
献妻
 6.
女と僧正と犬
 7.
元禄女合戦
 8.
転変
 9.
絵島・生島
10.
ある寺社奉行の死
11.
米の値段
12.
天保の初もの
本の題名 松本清張全集 29 逃亡・大奥婦女記【蔵書No0014】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1973/06/20●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「新婦人」
作品発表 年月日 1955年(昭和30年)10月〜1956年(昭和31年)12月
コードNo 19551000-19561200
書き出し 家綱は画が好きであった。見るのも好きであったが、自分でも描いた。その頃、世間に名高かった画師狩野探幽や永真安信などをよく召出して席画などさせて興がった。ある時、酒井忠勝の邸に行った時など、広大な庭の築山や泉水の模様を家綱は自分で写生した。画には居合わせた重臣まで配し、その家紋まで巧みにかき込んであったから誰誰であるか一目で分かったという。家綱がこのように画に趣味があったのは、彼の虚弱な体質からきていた。弱い彼が四十歳まで生きていたのはむしろ長命の方である。が、彼よりもっと繊弱だったのは、その夫人である。夫人顕子は伏見宮貞清親王の姫で浅宮といった。京より姫宮を迎えたのは、矢島局をはじめ大奥の女中どもが家綱を虜囚にしてわが儘をふるったので、それを抑えるための老中の計らいだった。浅宮に従って、右衛門佐局、飛鳥井局、姉小路局などの堂上家の女たちが下がった。このため大奥の行儀が著しく京風の格式になった。
作品分類 小説(短編・時代/シリーズ) 9P×1000=9000
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