松本清張(1106)_松本清張_死の枝(改題) 第二話 偽狂人の犯罪

(原題=十二の紐)

〔(株)文藝春秋=全集6(1971/01/20):【死の枝】第二話〕

題名 死の枝 第二話 偽狂人の犯罪
読み シノエダ ダイ02ワ ニセキョウジンノハンザイ
原題/改題/副題/備考 ●シリーズ名=死の枝
(原題=十二の紐)

●全11話=全集(11話)
 
1.交通事故死亡1名
 2.
偽狂人の犯罪

 3.
家紋
 4.
史疑
 5.
年下の男
 6.
古本
 7.
ペルシアの測天儀
 8.
不法建築
 9.
入江の記憶
10.
不在宴会
11.土偶
本の題名 松本清張全集 6 球形の荒野・死の枝【蔵書No0047】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1971/10/20●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「小説新潮」
作品発表 年月日 1967年(昭和42年)3月号
コードNo 19670300-00000000
書き出し 猿渡卯平がその殺人計画を立てたのはほぼ一年前からであった。だが、彼の場合、それは殺人そのものの計画ではなく、それを遂行した後の法廷戦術に置かれていた。猿渡卯平は、本郷に住む経師屋であった。今年三十五になる。五つ違いの妻と、六つになる女の子とがいた。彼はその商売にありがちな、根からの職人上がりではなかった。亡父は東京でも聞こえた経師屋だったが、彼は私大の経済学科に通い、将来は会社か銀行づとめをするつもりでいた。だが、十五年前に父親がが死ぬと、店は次第に寂れた。彼の父親は名人肌の経師だったので、自然と腕のいい職人が集まっていたのだが、ろくに修行もしていない卯平が店をつぐと、職人たちは彼を見限って離散した。卯平は経師屋をつぐ意志はなかったのだが、親戚や、父親をひいきにしていた骨董屋などのすすめもあって、大学を中退した。彼は器用なほうで、小さいときから父親の真似てその仕事をやっていたが、むろん、本格的なものではなかった。彼は、職人たちがそのまま店に残ってくれるものと期待していたのだが、結局、彼と従弟一人となった。そんなことで広い店も維持できなくなり、裏通りの小さな家に引っ込んでしまった。
作品分類 小説(短編/シリーズ) 15P×1000=15000
検索キーワード 経師師・軸物・表装・火鉢・高利貸し・精神分裂症・精神鑑定・色事・ドストエフスキー・罪と罰・小料理屋・法廷戦術・検事・検察事務官