(原題=流れ)
題名A | 流れの中に | |
読み | ナガレノナカニ | |
原題/改題/副題/備考 | (原題=流れ) ●「小説中央公論」1961年(昭和36年)10月号「流れ」を改題 【重複】〔(株)新潮社=憎悪の依頼 新潮文庫〕 ●宮部みゆきセレクション(戦い続けた男の素顔)松本清張傑作選 1.「月」 2.「恩義の紐」 3.「入江の記憶」 4.「夜が怕い」 5.「田舎医師」 6.「父系の指」 7.「流れの中に」 8.「暗線」 9.「ひとり旅」 10.「絵はがきの少女」 11.「河西電気出張所」 12.「泥炭地」 |
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本の題名 | 宮部みゆき 戦い続けた男の素顔:松本清張傑作選■【蔵書No0224】 | |
出版社 | 新潮社 | |
本のサイズ | B5普通 | |
初版&購入版.年月日 | 2009/07/30●初版 | |
価格 | 1680(本体1600円)/中古(590円+送料:250円) | |
発表雑誌/発表場所 | 「小説中央公論」 | |
作品発表 年月日 | 1961年(昭和36年)10月号 | |
コードNo | 19611000-00000000 | |
書き出し | 笠間宗平は五十二歳になった。勤めている会社は、三十年勤続すると半月の慰労休暇をくれる規定になっている。宗平もその資格に達した。会社は休暇に添えて五万円をくれるのだ。たいていの社員は家族を連れてどこか遊びにゆくが、宗平はひとりで旅をするつもりだった。妻は何年ぶりかに温泉地にゆきたがっていたが、宗平はそれを断わった。彼もあと三年経つと定年になる。実は、この旅の計画はずっと以前から考えていて、定年後に行うつもりだったが、それではあまりに侘びしくなる。あと僅か三年でも、やはり働いているうちにその旅をしたかった。それは、宗平が小さいときに送った土地を訪れてみることだった。といって、このような土地には宗平には暗い思いでこそあれ、懐かしさは一つもない。三十数年前も自分の心から遮蔽していた土地をいまさら懐かしむつもりはない。亡父への記憶をその土地へ行って手探りたかっただけである。宗平もほぼ亡父の晩年の年齢になっていた。そのことからこんな思い立ちになったのかもしれない。 | |
作品分類 | 小説(短編) | |
検索キーワード | 旅・極貧・鮭の鱗・鱒の鱗・思い出・天満宮・父・叔母・母・瀬戸内海 |