松本清張(1112)_死の枝(改題) 第九話 入江の記憶

(原題=十二の紐)

〔(株)文藝春秋=全集6(1971/01/20):【死の枝】第九話〕

題名 死の枝 第九話 入江の記憶
読み シノエダ ダイ09ワ イリエノキオク
原題/改題/副題/備考 【重複】〔(株)新潮社=宮部みゆき 戦い続けた男の素顔:松本清張傑作選〕
●シリーズ名=死の枝
(原題=十二の紐)

●全11話=全集(11話)
 
1.交通事故死亡1名
 2.
偽狂人の犯罪
 3.
家紋
 4.
史疑
 5.
年下の男
 6.
古本
 7.
ペルシアの測天儀
 8.
不法建築
 9.
入江の記憶

10.
不在宴会
11.土偶
本の題名 松本清張全集 6 球形の荒野・死の枝【蔵書No0047】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1971/10/20●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「小説新潮」
作品発表 年月日 1967年(昭和42年)10月号
コードNo 19671000-00000000
書き出し 秋の陽が入江の上に筋になって光っている。入江といっても深く入り込んでいるので、こちら側から対岸を見ると広い川のようだった。狭い海峡のようにも見える。対岸に特徴のない山が同じ高さで横にのびていた。森もあれば、段々畠もあった。段々畠はこちら側の丘のほうが多い。瀬戸内海の風景として格別珍しいことではなかった。だが、段々畠も近ごろは観光の対象となる。対岸の右手、入江の奥には不似合いなくらい大きなホテルも建っている。旅館が七軒、まだ建築中のが一軒見える。こちら側にも小さい旅館が三軒あった。もともと古い湊であった。潮待ちの湊として奈良朝のころから知られた。室町時代には遊女の湊であり、羇旅の歌に詠みこまれている。早くから港としての機能を失い、町も廃れたのも同然になったが、五,六年前からは観光ブームの余波をうけるようになった。歴史のある湊、古歌に詠まれた湊というので瀬戸内海めぐりの立寄り先となった。山陽本線から支線で少しは入り込むのが難だが、遊びの旅なら苦にもならない。
作品分類 小説(短編/シリーズ) 11P×1000=11000
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