松本清張_日本の黒い霧 第七話 征服者とダイヤモンド

題名 日本の黒い霧 第七話 征服者とダイヤモンド
読み ニホンノクロイキリ ダイ07ワ セイフクシャトダイヤモンド
原題/改題/副題/備考 ●シリーズ名=日本の黒い霧
●全12話=全集(12話)
 1.下山総裁謀殺論(
下山国鉄総裁謀殺論
 2.運命の「もく星」号(
「もく星」号遭難事件
 3.謀略疑獄−−その氷山の一角(
二大疑獄事件
 4.北の疑惑−−白鳥事件(
白鳥事件
 5.諜報列島−−亡命ソ連人の謎(
ラストヴォロフ事件
 6.
革命を売る男・伊藤律
 7.征服者とダイヤモンド
 8.画家と毒薬と硝煙(帝銀事件の謎
 9.白公館の秘密(
鹿地亘事件
10.
推理・松川事件
11.黒の追放と赤の烙印(
追放とレッド・パージ
12.謀略の遠近図(
謀略朝鮮戦争
なぜ「日本の黒い霧」を書いたか
本の題名 松本清張全集 30 日本の黒い霧【蔵書No0118】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通) 
初版&購入版.年月日 1972/02/20●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「文藝春秋」
作品発表 年月日 1960年(昭和35年)6月号
コードNo 19600600-00000000
書き出し 残暑のきびしい昭和二十五年九月三十日午後三時すぎのことである。大蔵次官山際正道氏に、GHQのESS(経済科学局)キャップ、クレーマー大佐から電話がかかって来た。用件というのは、今夜八時ごろ日本銀行へ監査に行くというのである。ところで、ただの銀行監査というのに、クレーマー大佐は、物々しく装甲車に兵士を乗せ、約三十数名を一グループとして、日銀を取り巻いたのであった。この日は日曜日だし、夜のことである。宿直のメンバーがいるだけだから、危険なことは何もなさそうなのに、大佐はこの僅かな当事者を集めて、その一人一人に厳重な身体検査を行った上、帰宅せよと命令した。あとはたったひとりの保安要員を残したのみである。つまり、高電圧の技手一名だけが、あの広い日銀にぽつんとひとりで残った。しかし、日銀の首脳部は、逆に全員集合を厳命された。このときのメンバーは、総裁渋沢敬三、副総裁新木栄吉、理事相田岩夫(のち日販社長)、柳田誠二郎(のち日本航空社長)などの各氏で、一体、この突然の命令は何事であろう、と心配顔で集まり、別館一室に待機していた。日本銀行の三井側や東銀側には武装車が停止し、物々しく着剣した連中が、日銀の入り口全部を固めて、内に入らせないのである。
作品分類 ノンフィクション(短編/連作) 31P×1000=31000
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