松本清張_あとがき_松本清張全集 30 なぜ「日本の黒い霧」を書いたか(あとがき)

題名 あとがき_松本清張全集 30 なぜ「日本の黒い霧」を書いたか
読み アトガキ_マツモトセイチョウゼンシュウ 30 ナゼ「ニホンノクロイキリ」ヲカイタカ
原題/改題/副題/備考 ●シリーズ名=日本の黒い霧
●全12話=全集(12話)
 1.下山総裁謀殺論(
下山国鉄総裁謀殺論
 2.運命の「もく星」号(
「もく星」号遭難事件
 3.謀略疑獄−−その氷山の一角(
二大疑獄事件
 4.北の疑惑−−白鳥事件(
白鳥事件
 5.諜報列島−−亡命ソ連人の謎(
ラストヴォロフ事件
 6.
革命を売る男・伊藤律
 7.
征服者とダイヤモンド
 8.画家と毒薬と硝煙(
帝銀事件の謎
 9.白公館の秘密(
鹿地亘事件
10.
推理・松川事件
11.黒の追放と赤の烙印(
追放とレッド・パージ
12.謀略の遠近図(
謀略朝鮮戦争
なぜ「日本の黒い霧」を書いたか
本の題名 松本清張全集 30 日本の黒い霧【蔵書No0118】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1972/11/20●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「朝日ジャーナル」
作品発表 年月日 1960年(昭和35年)12月4日号
コードNo 19601204-00000000
書き出し 『日本の黒い霧』をどういう意図で書いたか、という質問を、これまで私はたびたび人から受けた。これは、小説家の仕事として、ちょっと奇異な感じを読者に与えたかもしれない。だれもが一様にいうのは、松本は反米的な意図でこれを書いたのではないか、との言葉である。これは、占領中の不思議な事件は、何もかもアメリカ占領軍の謀略であるという一律の構成で片づけているような印象を持たれているためらしい。そのほか、こういう書き方が「固有の意味の文学でもなければ単なる報告や評論でもない、何かその中間物めいた”ヌエ的”なしろもの」と非難する人もあった。これも、私という人間が小説家であるということから疑問を持たれたのであろう。私はこのシリーズを書くのに、最初から反米的な意識で試みたのでは少しもない。また、当初から「占領軍の謀略」というコンパスを用いて、すべての事件を分割したのでもない。そういう印象になったのは、それぞれの事件を追及してみて、帰納的にそういう結果になったにずぎないのである。
作品分類 コメント/あとがき/補筆
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