研究
柳田桐子が、高名な弁護士に会うため九州から上京するようだが、刑事事件の弁護の依頼か?
神田に宿を選ぶ動機は分かる気がする。
話は予言的に
>その事件が突然に、彼女の生活を襲って以来...
と、書き進め北九州のK市から上京させた。
北九州のK市とは「小倉市」であろう。
※1963年 2月10日 - 門司市・小倉市・戸畑市・八幡市・若松市の5市が合併(新設合併)し、北九州市が発足。
この小説は、1959年7月から婦人公論で連載が始まっている。北九州市誕生前である。
題名の
「霧の旗」って何だろう?
「桐子の旗」なのか...
○○の○○は、清張一流の
アブストラクトといいますか、題名をまず出して一ヵ月程命を延ばすことがございます。
これは、ほかの場所でも話したことですが、
たとえば、『波の塔』だとか『水の炎』だとかいうような題を出しておけば、
内容が推理小説であろうが、ロマン小説であろうがあるいは時代小説であろうが、
あと一ヵ月のほんとうの締切りまで時間がかせげるわけであります。・・・・・
なのだろうか?
1959年当時は、「影の地帯」「火の縄」「黄色い風土」「波の塔」(5月)・「歪んだ複写」(6月)
「霧の旗」(7月)・「黒い福音」「高校殺人事件」(11月)と、長編小説を連発している時期でもある。
「桐子の旗」でも良さそうだが、「霧の旗」ほどインパクトはない。
物語の展開より題名に興味を引かれてしまった。
清張作品には、「○○の○○」が実に多い。
参考までに(題名で内容が想像できないものを挙げてみた。
例えば、「鬼火の町」・「遠くからの声」・「絵はがきの少女」などは具体的で、当否は別にして
想像できるものは除外。
混声の森
葦の浮船
数の風景
眼の壁
真贋の森
証言の森
球形の荒野
水の肌
眼の気流
死の発想
地の指
水の炎
波の塔
まだまだ出てきそうだ。三文字のパターンが難解な題名か?(水の炎、水の肌、波の塔)
『霧の旗』が特徴的なのは、映像化が頻繁に行われたことだ。
映画が2本。テレビドラマは9回も放映されている。
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