松本清張_雑草の実 (エッセイ)

題名 雑草の実 エッセイ
読み ザッソウノミ
原題/改題/副題/備考 ●松本清張未刊行短編集
任務】709__02(重複709・1075)

危険な広告】734
筆記原稿】735
鮎返り】736
女に憑かれた男】737
悲運の落手】738
秘壺】739
電筆】740
特派員】686__02(重複686)
雑草の実】741
■解説:権田萬治 
本の題名 任務 松本清張未刊行短編集 【蔵書No0243】
出版社 中央公論新社
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 2022/11/10●初版
価格 2000円+税(200円)
発表雑誌/発表場所 読売新聞・夕刊 1976年6月16日〜7月9日
作品発表 年月日 1976年6月16日〜7月9日 
コードNo 19760616-19760709
書き出し 昭和五十一年の三月初旬、広島市で講演会があったついでに、わたしは東広島(旧賀茂郡)志和町の別府というところに行った。母の生まれ在所だが、これまで広島市にいくことはあってもそこまでは足が伸ばせなかった。
母は、二十年前に七十五歳で死んだ。わたしが九州小倉から練馬区立野町の借家に引っ越して一年半くらいだった。死ぬ半年前から今でいう恍惚状態になっていた。七十五でそうなるのは早すぎるが、長い間の苦労のせいかもしれない。母は十七、八のときだかに志和を出てから一度も故郷に帰ったことはない。
父は、鳥取県日野郡矢戸村(現日野町)の生まれで、これも若いときに郷里を出てから戻らずじまいだった。父も母も帰れるような生活ではなかったからである。生まれたところを出てよその土地で生活するのを「旅」と広島地方の人は言う。ほかでもそういうかもしれないが、生まれた在所が本拠だという気持ちからであろう。父も母も「旅」で人生を終わった。
作品分類 エッセイ 41P×850=34850
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