松本清張_危険な広告

題名 危険な広告 
読み キケンナコウコク
原題/改題/副題/備考 ●松本清張未刊行短編集
任務】709__02(重複709・1075)

危険な広告】734
筆記原稿】735
鮎返り】736
女に憑かれた男】737
悲運の落手】738
秘壺】739
電筆】740
特派員】686__02(重複686)
雑草の実】741 
本の題名 任務 松本清張未刊行短編集 【蔵書No0243】
出版社 中央公論新社
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 2022/11/10●初版
価格 2000円+税(200円)
発表雑誌/発表場所 オール讀物 1954年6月
作品発表 年月日 1954年6月 
コードNo 19540600-00000000
書き出し 社は五時に退けるのが定時だが、湯浅円造は大抵六時過ぎまで居残る。翌日の朝刊の広告面のゲラを一通り見て帰るのである。広告部組付係主任兼校正係主任というのだった。地方新聞だが、伝統もあるし、県下と周辺の三,四県には勢力を持っている新聞社であった。その日もゲラを見終わると手洗いにたち、帰り支度を始めた。上着を着ていると、「おい湯浅君、もうお帰りか。どうじゃな、一杯」
向こうの机から野見山繁雄が声をかけた。部長はどこかへ出かけていない。外務係主任の野見山は若い部下四,五人とかたまって机の上に一升瓶を置き湯飲みで酒を飲んでいた。「有難う。一寸今日は用があるので失敬するよ」湯浅は手を振った。酒もあまり好な方ではなかった。用事があるというのも本当だった。
気の浮く用事ではない。それでも返りに市場に寄って鶏肉を買った。自然といつもより急いだ足になった。
玄関の開く音をきいて男の児が出て来た。九つだ。
「英子ちやん来たよ」
と父に告げた。遊びに来たのではないという響きが子供の口調にもあった。
作品分類 小説(短編) 25P×590=14960
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