松本清張_鮎返り

題名 鮎返り
読み アユカエリ
原題/改題/副題/備考 ●松本清張未刊行短編集
任務】709__02(重複709・1075)

危険な広告】734
筆記原稿】735
鮎返り】736
女に憑かれた男】737
悲運の落手】738
秘壺】739
電筆】740
特派員】686__02(重複686)
雑草の実】741 
本の題名 任務 松本清張未刊行短編集 【蔵書No0243】
出版社 中央公論新社
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 2022/11/10●初版
価格 2000円+税(200円)
発表雑誌/発表場所 地上 1955年5月
作品発表 年月日 1955年5月 
コードNo 19550500-00000000
書き出し R県の足立温泉は、山峡に在った。鉄道の駅から三時間もバスで山間に入るので、足場はよくなかぅた。そのため、早くからその名は知られておりながら、近頃までは一向にひらけない、野暮ったい温泉場であった。
昔、さる高名な聖が、跛をこの湯につけて忽ち彼の足萎えを癒したという伝説に因んで「足立」と名づけられたといわれるこの温泉場は、近年まで、その伝説とさして進歩していないくらいに素朴であった。
それが付近の渓谷の美が宣伝されるに及んで、カメラをもった人種が入り込むようになり、雑誌などでもこの辺の景色が紹介されたりして、終戦後、急に名が出るようになった。
それで、これまで三軒の古い旅宿しかなかったものが、今では五軒の新しい旅館が建った。銀霞荘というのがそれだった。が、旅館と数軒の土産物屋ができたくらいで、この辺りの環境に、さして悪い変化はなかった。温泉場にはつきものの、いかがわしい女を置く店も、俗悪なバアまがいの飲食店も無かった。つまり、旅館の外は、昔ながらの藁ぶき屋根のかたまった農村の一部落であった。
作品分類 小説(短編) 25P×850=21500
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