題名A | 黒い画集 第九話 草 | |
読み | クロイガシュウ ダイ09ワ クサ | |
原題/改題/副題/備考 | 【重複】〔(株)文藝春秋=松本清張全集4〕 ● シリーズ名=黒い画集 ●全9話 1.遭難 2.証言 3.坂道の家 4.失踪 5.紐 6.寒流 7.凶器 8.濁った陽 9.草 |
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本の題名 | 失踪 松本清張初文庫化作品集@■【蔵書No0207】 | |
出版社 | (株)双葉社 | |
本のサイズ | 文庫(双葉文庫) | |
初版&購入版.年月日 | 2005/11/20●初版 | |
価格 | 630(600+30) | |
発表雑誌/発表場所 | 「週刊朝日」 | |
作品発表 年月日 | 1960年(昭和35年)4月10日〜6月19日 | |
コードNo | 19600410-19600619 | |
書き出し | そのころ、私は肝臓を悪くして、都内のある町にある朝島病院に入院していた。この朝島病院というのは、かなり古い病院で、一般にも名前が知られていた。というのは、その先代の院長がかなり有名な臨床医で、当時、ある宮家の主治医をしたこともあったからである。今の院長はその息子だが、その病院はちょっと衰微していた時期がある。院長の医学博士朝島憲一郎は、四十七八歳ぐらいで、それほど悪い腕ではないが、先代が偉かったせいか、二代目になると、見劣りする印象を世間に与えたらしい。病院が一時衰微したのは、彼に力がなかったからでなく、そのためとも思われた。ところが二年ぐらい前から、この病院はまた繁盛しはじめ、私が入院したときは、新しい病棟を増築して、それが完成したところであった。私はその新館の個室にはいったのだが、新しいだけに設備も良く、明るくてなかなか快適であった。朝島院長は、毎日一回は病室にまわってきた。この人は色の白い好男子で、背がすらりと高く、いかにも名医の息子といった感じだった。五十近い年輩なので、息子というのも変だが、この人のおっとりした態度の中には、その感じが否めなかった。 | |
作品分類 | 小説(短編/シリーズ) | |
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