松本清張_現代官僚論 第四話 検察官僚論

〔(株)文藝春秋=全集31(1974/07/05)【現代官僚論】で第四話として発表〕

題名 現代官僚論 第四話 検察官僚論
読み ゲンダイカンリョウロン ダイ04ワ ケンサツカンリョウロン
原題/改題/副題/備考 ●シリーズ名=現代官僚論
●全13話
 1.
現代官僚論
 2.
文部官僚論
 3.
農林官僚論
 4.検察官僚論
 5.通産官僚論
 6.
旧内務官僚論
 7.
建設官僚論
 8.
警察官僚論
 9.
内閣調査室論
10.
防衛官僚論
11.
運輸官僚論
12.
大蔵官僚論
13.
外務官僚論 
●全集(7話)
1.
現代官僚論
2.
文部官僚論
3.
農林官僚論
4.検察官僚論
5.通産官僚論
6.
警察官僚論
7.
内閣調査室論
本の題名 松本清張全集 31 深層海流・現代官僚論【蔵書No0115】
出版社 文藝春秋
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1974/07/05●2版
価格 1200
発表雑誌/発表場所 「週間文春」
作品発表 年月日 1963年(昭和38年)8月号〜9月号
コードNo 19630800-19630900
書き出し 先ごろ、東京地検の安倍治夫検事が検察官を批判したという廉で北海道函館地検に狭左還されて話題を撒いた。安倍検事は吉田石松翁を再審に持って行き、これを無罪としたり、「法律時報」や「中央公論」に論文を書いて内部から検察批判の火の手を揚げたため、この左還となったと云われている。もっとも、中垣法相は「これは左還ではなく、安倍検事の経歴からして当然の転勤である」と記者会見で云っているが、これなどは官僚につき上げられた苦しい弁解で取るに足らない。巷間伝うるところによれば、安倍批判に対して上層部は激怒し、安倍を切れという声があったそうだが、この際彼を追放すれば、世論を誘発する結果になり、検察庁にとって不利だという論が勝ちを制し、当人を島流しにすれば、必ず本人が辞職するだろうとの観測だったそうである。が、案に相違して安倍は「自分は検事が好きであるから、命じられるところならどんなところでも行く」とあっさり北海道へ去ってしまった。このことについて、安倍のような男を法務部内に置く結果になったのは作戦負けだったと悔やんでいるとかいう。
作品分類 ノンフィクション(短編/シリーズ) 38P×1000=38000
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