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日本清張学会(NSG)設立記念・特別テーマ/「春の血」と「再春」
B「春の血」と「再春」蛇足的研究 | |
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はじめに、時間的経過を表示します。
時間的経過 | 作品名 | 発表雑誌 |
1953年(5月〜7月) | 「欺かれた女」 | 「メルクール」5月号〜7月号 |
1954年(8月20日) | 「欺かれた女」 | 「欺かれた女」新潮社(高橋義孝訳) |
1954年(11月15日) | 「欺かれた女」 | 「欺かれた女」新潮社(高橋義孝訳)/3刷 |
1958年(1月) | 「春の血」 | 「春の血」「文藝春秋」1月号 |
1958年(8月) | 「春の血」 | 『装飾評伝』「春の血」(筑摩書房) |
1979年(2月) | 「再春」 | 「再春」「小説新潮」 |
1979年(12月5日) | 「再春」 | 『隠花の飾り』・第十話「再春」(新潮社) |
1983年(5月) | 「再春」 | 『松本清張全集42』「再春」 ※iyoko様情報 |
1987年(6月25日) | 「春の血 | 『延命の負債』「春の血」(角川書店/角川文庫) |
1992年(8月4日) | 松本清張死去 |
※「赤字」が蔵書
なぜ?
最後に出版された『延命の負債』に「春の血」を収録しているのか。(清張生前の出版である)
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おまけとしての蛇足的研究
「春の血」と「再春」の比較をしたとき、「再春」は、
新人賞を貰ったとはいえ、駆け出しの作家で主婦である「鳥見加寿子」が書いていることになっている。
ということは
「春の血」より「再春」(鳥見加寿子が書いたとされる部分)は、少しレベルを落として書く必要がある。
文藝評論家が、「もちろんトーマス・マンの文章が格段に上質であることはいうまでもない」
と、酷評している。
作中であるが、文章そのものも、批判の対象である。
以前にも書いたが、作家が自作の小説のなかで
登場人物に小説を書かせる、あるいは詩を書かせる場合
その内容は、なかなかむつかしい
「高校殺人事件」では、登場人物である「小西重介」(ノッポ)という高校生に詩を書かせている
もちろん清張のオリジナルであろうが、ボードレ-ルへ傾倒している彼に相応しく、彼のレベルに
合わせた詩でなくてはいけない。
その意味で
「鳥見加寿子」のレベルに合わせた小説でなくてはいけない。
したがって、前回
>文学的に、どちらの表現がすぐれているか、私には判断しかねる。「再春」に推敲の後がうかがえるように思います。
としたが、その推敲は、「鳥見加寿子」が書いたとするための推敲でなければならない。はずだ。
私の独善的読後感であるが
「春の血」の方が面白い
「再春」はその結末も、なんだかものたりない。
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(終わり)
最後に「春の血」と「再春」について、問題解決のため
大変お世話になった、iyoko様の掲示板への投稿を掲載して
一応の決着にします。
●● 「再春」着想ばなし 投稿者:iyoko 投稿日: 9月 7日(木)12時26分47秒 ●● |
こんにちは。 お待たせしました! 「清張自身の苦い経験」の具体的内容が分かりました。 「松本清張全集 42」に、「着想ばなし(7)」という清張自身が 解説している付録のようなものがついていました。 そこで「隠花の飾り」11作品についてエピソードを語っていました。 以下が再春について述べられた文章です。 ----- 「再春」は、わたし自身の苦い経験である。まだ小倉市(現・北九州市)に居た ころ、家裁調停委員の丸橋静子さん(故人)から聞いた話を「文藝春秋」に「春 の血」として発表したところ、トーマス・マンの「欺かれた女」をそのまま取っ たといわれた。わたしは「欺かれた女」を読んでいなかった。「春の血」はわた しの小説集にもい入れず、「全集」(第一期)からも削除している。 ----- ▼私が図書館で借りた本です。 松本清張全集. 42. - 東京 : 文藝春秋, 1983. - 449p ; 20cm. - 各巻タイトル: 黒革の手帖.隠花の飾り ※付録と思われる「着想ばなし(7)」には、 『一九八三年五月発行 第42巻 第2期第7回配本 松本清張全集 月報7』 と記載されていました。 これで少しは前進しましたでしょうか。 私としてもとてもすっきりしました。 改めてこのエピソードを読むととても興味深いですね。 素不徒破人さんの研究の手助けになればと思います。 落語はほとんどまともに聞いたことがありません。 落語に怖い話があるのですね。 「一杯飲み屋の女房」怖いながらもおもしろそうですね。 機会があったら聞いてみたいです。 |
「再春」はその結末も、なんだかものたりない。 |
2006年9月8日 素不徒破人