研究室_蛇足的研究
2023年12月21日 |
清張作品の書き出し300文字前後で独善的研究!
研究作品 No_151 【死んだ馬】 (シリーズ作品/黒の様式:第七話) 〔小説 宝石〕 1969年(昭和44年)3月号 |
和風建築の設計で、池野典也は日本でも指折りのひとりにはいるだろう。その第一に挙げる人もある。この道が古いだけに、有名な点では他にヒケをとらない。実際、池野典也がこれまで設計した日本建築家は、住居といわず料亭といわず会館といわずすべて「名品」となって残っている。現代和風名建築集といったものが編まれたら、彼の作品は、その三分の一まではゆかないにしても、四分の一くらいはスペースを得るだろう。なかには、すでに「古典」化しているのもある。それだけ彼の履歴は長い。池野典也の作風を一口にいうと、和風建築に近代感覚を与えたことである。当然それが合理的設計となっている。たとえば、これまでの日本建築の間取りにはいかにも無駄が多かったが、彼はそれを切り詰めた。日本建築における特徴的な余裕の存在は決して非難すべきことではない。ゆっくりとした居住は人間にくつろぎを与え、余韻を味わわせる。無駄と見える室内のひろい空間は、実は水墨画における空白の効果と同じ美的な価値を持っている。 |
「死んだ馬」は、「小説 宝石」に発表された作品です。 はじめは、シリーズ作品『黒の様式』として発表された訳ではない。 【松本清張全集9】で、何故か『黒の様式』の第七話として収録されている。 池野典也、名前の読みは、「つねや」「ふみや」「のりや」...ノリヤだろう? 現代和風建築家 書き出しだけでは見当も付かない。 池野典也が主人公なのだろうか? 清張作品には、様々な職業を持つ人物が登場する。 建築家の登場は余り記憶に無い。 画家や音楽家など「家業」は職業としても扱いやすいのだろうか? キーワードとして『職業』を取り上げたのは、「警察官」「弁護士」「住職」「作家」「記者」「医者」「画家」など今まで 取り上げてきた。 作品として結実させるにはその方面の知識も必要で、書き出し部分でその蘊蓄が発揮されている。 |