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検索キーワードに見る清張作品の傾向と対策?

(その十:寺・住職)

清張作品の書き出し300文字前後からあぶり出すキーワード!


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●私ごとですが先日「法事」があり田舎に帰りました。
法事と言えば「寺」「住職」「坊主」です。
住職:寺の長である僧。住持
僧侶:出家して仏道を修行する人。また、その集団。僧徒。僧。
坊主:1 寺坊の主(あるじ)である僧。寺院で一坊を構えた僧をさしていった。
    2 一般に、僧。室町時代以後に行われるようになった称。
    3 髪の毛のない頭。また、毛をそったり短く刈ったりした頭。

そこで、問題です。
宗派によっても違うのでしょうが、ちなみに、我が家は「浄土真宗」です。

当人(住職、僧侶、坊主)を前にして何と呼ぶかです。

1.たとえば、法事でみんな揃って待っている。
  そこへ「当人」タクシーで登場
  それを見つけた家人、
  「○○が見えましたよ」

2.法事も無事終わり、ささやかな膳が出る。
  お酒も少々、上座に座る「当人」へお酒をつぐ家人
  「お疲れ様でした、今日は有り難う御座いました」
  「○○さん(様)おひとつどうぞ」

男はつらいよでは「御前様」でokです。
我が田舎では「お寺さん」らしいのです。

「お寺さん」...
今回のキーワードは
「寺」です。

「寺」でビックリ。
本当に多いのです。以下に列挙します。


別冊黒い画集 第五話 陸行水行
天才画の女
小説帝銀事件
火と汐
火の虚舟
西郷札
梟示抄
彩色江戸切絵図 第五話 蔵の中
火の縄
紅刷り江戸噂 第六話 役者絵
転変
笛壺
陰謀将軍
佐渡流人行
乱気
額と歯
皿倉学説
背伸び
英雄愚心
隠花の飾り 第八話 記念に
乱灯(上) 江戸影絵
火の路(上)
天城越え
軍師の境遇

高校殺人事件(改題)
小説日本芸譚 第一話 古田織部
小説日本芸譚 第三話 千利休
小説日本芸譚 第六話 小堀遠州
小説日本芸譚 第八話 光悦
小説日本芸譚 第十話 岩佐又兵衛
小説日本芸譚 第十一話 雪舟
大奥婦女記 第四話 予言僧
大奥婦女記 第五話 献妻
大奥婦女記 第六話 女と僧正と犬

大奥婦女記 第十話 ある寺社奉行の死
私説・日本合戦譚 第三話 山崎の戦
無宿人別帳 第五話 俺は知らない
無宿人別帳 第六話 夜の足音
無宿人別帳 第九話 赤猫
無宿人別帳 第十話 左の腕


「寺」と「住職」で2作品(太字)
「寺」と「僧」で6作品(青字)

「寺」と「住職」と「坊主」で1作品
大奥婦女記 第十話 ある寺社奉行の死

時代物が多い、情景描写の中で「寺」は描きやすい


2010年09月19日

 



題名 「寺・住職」
役者絵
(紅刷り江戸噂 第六話)
天保年間のことである。二月に入って春になったとはいえ、江戸はまだ寒い。ことにその年は例年になく寒気が強く、二日の灸の日は大雪であった。江戸の風習として、年に二回、男女とも灸点を行うのを例とした。二月二日と八月二日である。これを「二日灸」といった。「春もややふけゆく二月二日あたりははらにもぐさの萌ゆる若草」という狂歌は二月二日の灸のことをいった。灸を据えつけている者は、自分でもぐさをその個所に置けるが、そうでない者は、しかるべき人に灸点をおろしてもらわねばならない。そういうのをで行うことが多かった。二月二日が近づくと、小さなの門前には「二日灸」の貼り紙が出たものだ。谷中に浄応寺というあまり大きくない門徒があった。ここも例に洩れずに二日灸をした。灸を頼みにくる者も、町の按摩などに火をつけてもらうより、住職に灸点してもらったほうが何だか有難く、一年中、無事息災でいられそうであった。
ある寺社奉行の死
(大奥婦女記 第十話)
文政十二年十月下旬、脇坂淡路守安董が社奉行となった。社奉行というのは名の通り、社を総轄する役目だが、地位としては大切なところにあった。社奉行を勤めれば、次が若年寄り、次が老中、大老と出世するいわば官界の登竜門といわれていた。しかし脇坂淡路守の社奉行は、この年がはじめてではない。その前、文化十年に一度勤めたことがある。この時は谷中の延命院事件というのを徹底的に検挙して、坊主どもを慄え上らせた。この延命院事件というのは、住職の日当という日蓮宗の坊主が、多数の大奥女中の帰依を得ていて、遂には五十数名の女を籠絡した一件であった。大奥女中の行状は、そのころ眼に余るものがあったが、何分、相手が大奥であるから、歴代の社奉行が見て見ぬ振りをしていた。迂闊に手をつけたら己の失脚となる。それを、脇坂安董が暴いて裁いた。

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