松本清張_名札のない荷物 7. 南半球の倒三角

松本清張短篇小説館(2/5話)〕

題名 名札のない荷物 7. 南半球の倒三角
読み ナフダノナイニモツ 7. ミナミハンキュウノトウサンカク
原題/改題/副題/備考 松本清張短篇小説館(2/5話)の再録〕
●シリーズ名=名札のない荷物
●全8話
1.
怨霊のなぐさめ
2.
天正十年のマクベス
3.
「兵隊王」の丘から
4.
立ちどまる賢人
5.
日記メモ1968・2
6.
日記メモ1968・3
7.南半球の倒三角●〔松本清張短篇小説館(2/5話)の再録〕
8.鼎談・人類共通の敵エイズを考える 座談会/鼎談=塩川優一・寺松尚・松本清張
本の題名 名札のない荷物【蔵書No0192】
出版社 (株)新潮社
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1992/08/25●3版1972/09/20
価格 1165+税(3%)/古本 88(税5%込み)+送料340
発表雑誌/発表場所 「文藝春秋」
作品発表 年月日 1983年(昭和58年)12月号
コードNo 19831200-19831200
書き出し 十月の初め、南インドのマドラスに私は三日間滞在した。中インドのパーナーやハイダラバードなど、人口過剰と貧困と喧騒と混濁とが塵埃の黄色い渦巻きとなって立ちのぼる最もインド的な町からやってくると、このマドラスはまったく変わった表情を持っていた。まず人が少ない。車やトラックもあまり走っていない。表通りに沿う建物は英国ふうだし、ココナツ椰子の茂りを背にした白いクリーム色の住宅は瀟洒であった。表通りから奥に入ったところはわからないが、新しいアパート団地がそびえているところなどは、各地で見た黒い黴びたようなスラムはあまり存在しないようである。同じく英国植民地だったせいで、マドラスはどことなくシンガポールに似ていた。
作品分類 エッセイ
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